ドライバーのいない自動運転タクシー:各国で加速する実用化

”ロボタクシー”とは
すでに公道を走り始めた自動運転車
安全性は高い
交通事故での死者は多い
自動運転で人命が救われるか
各種センサーを搭載
最先端の技術の結晶
どこを走れる?
法整備が課題
アメリカの例
テスラも将来的な量産を計画
複合的な目標
中国の例
百度もロボタクシーを展開
ヨーロッパでも
ほかにも利点が
渋滞も減少
セキュリティには注意
自動運転にもレベルがある
レベル1:運転支援
レベル2:部分的運転自動化
レベル3:条件付運転自動化
レベル4:高度運転自動化
レベル5:完全運転自動化
レベル5はいまなお開発途上
試験走行が開始
アマゾンも参入
”ロボタクシー”とは

ロボタクシーとは自動運転で運行されるタクシーで、ドライバー不要のサービスだ。少々不安な気もしてしまうが、いったいどんな技術なのだろうか。

すでに公道を走り始めた自動運転車

自動運転はすでに実用化されつつある。すでにアメリカや中国、シンガポールなど一部の国ではドライバーを必要としないレベルの自動運転車が道路を走っており、日本も段階的に法整備を進めている。

安全性は高い

ドライバーのいない車に乗るというのは心配な気もするが、実は普通の車よりも安全なのだという。

交通事故での死者は多い

Googleと同じアルファベットグループの自動運転車開発企業「ウェイモ」によると、毎年交通事故での死者は全世界累計で135万人にものぼるという。

写真:カリフォルニアを走るWaymoの車

自動運転で人命が救われるか

だからこそ、ヒョンデやメルセデスベンツ、ホンダ、ボルボ、テスラ、そしてグーグルといった多くの多国籍企業も安全に対する投資は惜しまず、結果的に世界中で数多くの人命を救うような自動運転の開発にも取り組んでいる。

各種センサーを搭載

ヒョンデが開発した自動運転車「アイオニック5」(写真)には30以上のセンサーが組み込まれており、その種類もカメラやレーダーに始まり、LiDARシステムも搭載する。LiDARとはLight Detection and Ranging(光検知・距離測定)の頭文字で、光を用いて距離などを測定するセンサーだ。

最先端の技術の結晶

「アイオニック5」のセンサーは360度すべてを高解像度で把握し、測定距離も超長距離だ。ヒョンデによると、2023年中にこの「アイオニック5」を用いたロボタクシーのサービスをアメリカのラスベガスで開始するという。

どこを走れる?

現時点で運転者のいない自動運転が許可されている代表的な国はアメリカの他に中国やシンガポール、ドイツなどだ。日本も今年の4月1日の改正道路交通法施行で解禁された。

写真:中国、北京の亦荘(えきそう)を走るロボタクシー

法整備が課題

それ以外にも、特例的に自動運転を許可している都市もある。いずれにせよ、自動運転車が公道を走行するには、各種の法整備を経て自動運転車に必要な安全基準などを策定しておくことが必要だ。

アメリカの例

ロボタクシーの具体例を見てみよう。CNNによると、米ゼネラル・モーターズの子会社「GMクルーズ」はカリフォルニアの運輸局から夜間(夜10時から朝6時)に自動運転車を運行する許可を取得している。

テスラも将来的な量産を計画

また、ロイター通信によると、テスラのCEOイーロン・マスクは2022年4月に、ロボタクシー向けのハンドルもペダルもない車を2024年から量産する計画があると話していたという。

複合的な目標

テスラの目標は自動運転だけではない。テスラの開発する電気自動車はその加速の速さや、視聴覚機能の充実も売りとしている。そういった要素を自動運転と一体化させることをテスラは目指している。

中国の例

アメリカ同様、中国も自動運転導入に積極的だ。首都北京の亦荘(えきそう)地区(写真)をはじめ、上海や広州、深圳などでロボタクシーが走っている。

百度もロボタクシーを展開

「Apollo Go」は中国の百度(バイドゥ)が提供するロボタクシーサービスだ。ロイター通信によるとサービス開始は2020年で、すでに10以上の都市で100万回以上の実績があるという。

ヨーロッパでも

また、CNNによると、ドイツでも自動運転を認可する法が制定され、無人での宅配などが実験されているという。

ほかにも利点が

ロボタクシーの長所は安全なことに加え、環境にも優しいところ。多くの自動運転車は電気自動車で、都市部の大気汚染低減にも一役買っている。

渋滞も減少

さらに、ロボタクシーの割合が増えれば増えるほど、道路の混雑は減少する。自動運転車はお互いに通信可能なシステムで制御されているので、渋滞を減らすことができるのだ。

セキュリティには注意

ただし、自動運転車に固有の悩みもある。その一つがサイバーセキュリティだ。システムが外部のネットワークに接続しているため、悪用を防ぐためにはなんらかの保護機能が必要となる。

自動運転にもレベルがある

自動運転にもさまざまな段階がある。その参考になるのが米国の非営利団体「SAEインターナショナル」が定めたレベルだ。そこで示されている自動運転のレベルを整理してみよう。

レベル1:運転支援

レベル1では、システムはドライバーを支援する機能がある。たとえば車線変更時に警告を出したり、クルーズコントロールで速度を自動的に制御したりなどだ。

レベル2:部分的運転自動化

レベル2では、ドライバーに要求される作業はごくわずかになる。システムは駐車支援や走行支援を提供する。自律走行は可能だが、障害物を検知したりそれに反応したりはできない。

レベル3:条件付運転自動化

レベル3でもドライバーは必要だが、多くの交通条件下では車の操作は基本的にすべてシステムが担う。ドライバーにはごく限られた状況に対応することだけが求められる。

レベル4:高度運転自動化

先に触れたヒョンデのロボタクシーが実現しているのがこのレベル4だ。このレベルでは、特定の条件が整っていれば車の側がすべてを担い、人間の操作を必要としない。ルート選定から、環境条件への対応まですべてシステムが行う。

レベル5:完全運転自動化

レベル5では完全な自動化が実現する。あらゆる状況での、あらゆる事態にシステムが対応するのだ。車にはハンドルもペダルも無くてよく、すべての操作は自動化される。

レベル5はいまなお開発途上

レベル5の完全運転自動化を実現するためにアメリカと中国が協力して開発に当たっている。中国の自動車ブランド「Zeekr」はアメリカの「Waymo」と協力してEVのロボタクシーを開発している。

試験走行が開始

スペインの新聞『ラ・バングアルディア』はこう伝えている:「米中のテック大企業二社が開発しているのはハンドルもペダルも無い自動車で、2023年1月にドイツで最初の試験走行を予定している」

アマゾンも参入

アマゾンの子会社「Zoox」も完全運転自動化を視野に開発を進めている。カリフォルニアでロボタクシーのテスト走行が始まったが、現段階ではまだ従業員が搭乗してのテストとなっている。

写真:Zoox

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