ロシアが発表していた「兵力64万人」、じつは誇張だった?
ロシアの独立系メディア「Important Stories」と同じくロシアのオープンソースインテリジェンス「Conflict Intelligence Team(CIT)」が共同で行った調査によって、ロシア国防省は自軍の兵力を1.5倍も誇張して発表していたらしいことが判明した。
ロシア国防相は昨年12月、契約軍人の人数について64万人と公表していたが、8月1日に発表された今回の調査結果によって、実際には遥かに少ないことが暴露されたのだ。
The Daily Digest をフォローして世界のニュースをいつも手元に
「Important Stories」とCITはロシア政府の歳出に関するデータを利用し、2022年秋から今年4月の間に国防省と契約を行い、一時金を受けた兵士は42万6,000人しかいないことを突き止めた。
『キーウ・インディペンデント』紙はこの調査結果について、実際に契約を交わして一時金を受け取ったロシア兵の数はロシア国防省の発表より21万4,000人も少ないと伝えた。
また、今回の調査では匿名の情報源から、ロシアの一部地域では軍人の契約数が目標の50~60%に留まっているという情報がもたらされたとのこと。
この報道が事実であれば、プーチン政権がウクライナで任務に当たる契約軍人に対して支払われる一時金を大幅に増額するよう命じたのにも納得がゆく。ちなみに、この決定が下される以前の一時金の額は19万5,000ルーブリ(およそ2,280ドル)だった。
ところが、ニュースメディア「ブルームバーグ」によれば、この一時金はプーチン大統領の指示によって、40万ルーブリ(およそ4,600ドル)に倍増されたという。
同メディアいわく、「プーチン大統領はさらに、地方自治体に対して連邦政府が定める支給額に従うよう要請した」とのこと。これは、ロシア軍が思うように契約軍人の数を増やせず苦戦していることを示唆するものだ。
一時金の増額は、ウクライナの戦場におけるロシア軍の死傷者数が急増しているさなかに行われた。ウクライナ軍参謀本部によれば、ロシア軍は10月初旬までに65万人を超える死傷者を出したことになっている。
『ウクラインスカ・プラウダ』紙によれば、ウクライナ軍参謀本部は10月2日の時点で、ロシア軍の死傷者数は65万5,560人に達したという見方を発表。この数字は第2次世界大戦後の紛争における死傷者数としては突出している。