ロシア機密資料で明らかになった、NATOとの衝突に至った場合にロシアがとる戦略とは?

強大な海軍をもつロシア
軍の訓練シナリオが明らかに
資料自体は今年2月に報じられていた
中国からの侵攻も想定
資料にはなにが?
ヨーロッパを攻撃するシナリオ
10年以上前に作成されていた
早期の核攻撃の利点が記述される
海軍を用いたミサイル攻撃を計画
核兵器の「教科書的な」運用原則を確認
水上艦も核兵器を搭載可能
NATOのリスク分析とも合致
氷山の一角にすぎない?
強大な海軍をもつロシア

ウクライナへの全面侵攻によって苦境に立たされつつあるロシア。とはいえ、ロシアは世界屈指の軍事大国であり、あらゆる領域においてその力を侮るわけにはゆかない。とりわけ、その海軍力は強大なのだ。

軍の訓練シナリオが明らかに

今回、ロシア軍の秘密資料が流出、海軍の訓練実態が明らかとなった。そこでは核を搭載可能な兵器を使ってNATOと交戦、ヨーロッパ中心部まで攻め込むというシナリオが使われていた。『フィナンシャル・タイムズ』紙が8月13日に報じている。

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資料自体は今年2月に報じられていた

同紙は今年2月に、ロシアの秘密軍事資料29種について報じており、今回の発見もその資料からわかったものだ。これまでにも多くの軍事機密が明らかになっており、懸念を呼んできた。

中国からの侵攻も想定

それによると、ロシア軍は世界的紛争を想定して訓練を行っており、その初期段階で戦術核兵器を利用することになっていたという。また、訓練シナリオでは中国がロシアに侵攻するという筋書きも想定されていた。

資料にはなにが?

流出資料についてはこれまでも「海軍将校が実施するウォーゲームやプレゼン用のシナリオ」などが報じられていた。そのシナリオでは「核兵器の実戦での運用原則」が論じられていたという。『フィナンシャル・タイムズ』紙のマックス・セッドン記者とクリス・クック記者が書いている。

画像:Wiki Commons By U.S. intelligence agencies (unclassified), Public Domain

ヨーロッパを攻撃するシナリオ

今回報道された資料では、ロシアはNATOとの紛争を想定、国境付近での防衛戦にとどまらず、ヨーロッパ全体に飽和攻撃を行うプランを立てていた。

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10年以上前に作成されていた

しかも、この秘密文書が作成されたのは2008年から2014年の間とされており、当時欧州とロシアとの関係はいまよりはるかに良好だった。ただ、ウクライナへの全面侵攻が始まったのは2022年2月だが、2014年2月にはクリミアへの武力侵攻が行われている。

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早期の核攻撃の利点が記述される

作成時期は古いとはいえ、今回明らかになった文書からは、仮にロシアがNATOとの全面戦争に入った場合にどのような戦略を構想しているのかが伝わってくる。たとえば、文書では紛争初期に核攻撃を行うことの利点が述べられている。

画像:Wiki Commons By Mil.ru, CC BY 4.0

海軍を用いたミサイル攻撃を計画

文書では「『海軍の高機動性』は『突然の奇襲的攻撃』や『多方面からのミサイル飽和攻撃』を可能にする」と述べられていたという。8月13日の『フィナンシャル・タイムズ』紙報道で、セッドンとクック両記者が書いている。

核兵器の「教科書的な」運用原則を確認

文書ではさらに、「ロシアの戦略目標を達成するために、核兵器は『他の破壊的手段と複合して』用いることが『教科書的には』意図されている」とも述べられていたという。だが、不安要素はこれだけではない。

水上艦も核兵器を搭載可能

資料に含まれていたあるプレゼン資料では、ロシア海軍の水上艦が核兵器の搭載能力を維持していることが明かされている。また、ヨーロッパにあるNATO施設32箇所を潜在的な攻撃目標として提示する地図も含まれていた。

画像:Wiki Commons By Lphot Seeley/ MOD, OGL v1.0

NATOのリスク分析とも合致

両記者はこう述べている:「資料を分析した専門家によると、今回明らかになった内容はNATOのリスク分析にも合致しているという。NATOでは、ロシア海軍による長距離ミサイル攻撃や、ロシアが早期に核兵器を使用する可能性を検討していた」

氷山の一角にすぎない?

同紙の取材に応えた平和研究シンクタンク「スティムソン・センター」の非常勤研究員ウィリアム・アルベルクは、攻撃目標とされていた32の地点は「軍事目標や重要インフラなど、ロシアがヨーロッパ全体に想定している数百数千の攻撃目標のごく一部にすぎない」としている。

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