ロシア軍の戦死者数、10万人に達する勢い
ロシアによるウクライナ侵攻が始まったのは2022年2月24日。以来、ウクライナ当局はロシア側の損害を集計し、公開し続けている。
ウクライナ国防省はロシア軍の死傷者数を毎日集計し、サッカーのフィールドとの比較など強く印象に残る手法を用いて図解することで、自国の戦果をアピールしているのだ。
Twitter:Defence of Ukraine - @DefenceU
では、ロシア軍はウクライナの戦場でどのくらい戦死者を出しているのだろうか?ウクライナ国防省の発表によれば、 2022年12月17日の時点でロシア軍の戦死者は9万7,690名を超えたとされている。
一方、ロシア側のデータは不透明だと言わざるを得ない。ロイター通信によれば、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は自軍の戦死者数について9月末の段階でおよそ6,000名と発表したが、それ以降、統計の更新はなされていない。
また、米軍の高官たちは、ロシア、ウクライナ両陣営の死者数はともに約10万名だと述べている。
いずれにせよ、ウクライナ当局は戦死者数だけでなく、ロシア軍の装備に与えた損害についても日々、統計を更新している。
Twitter:Defence of Ukraine - @DefenceU
それによると、ウクライナ軍は12月の第3週までにロシア軍の戦車2,985台、戦闘車両5,858台、軍用機281機、戦艦16隻を破壊したことになっている。
ロシア軍に大きなダメージを与えたことをアピールし、市民の士気を高めたいウクライナ当局は、破壊されたロシア軍の装備をウクライナ全土で展示しているという。
ウクライナ侵攻開始から9ヵ月あまり、終結の兆しが見えない中で、今後も死傷者数が増え続けると予測されている。
ロシアやNATO各国が莫大な予算をつぎ込んで派遣した兵器は、ウクライナの戦場でがれきと化している。この事態はいつまで続くのだろうか?
しかし、米国がウクライナ軍に提供したHIMARS(高機動ロケット砲システム)が戦場で運用され始めたことで、ロシア軍の損害は著しく増加することとなった。
この新兵器について、ウクライナのオレクシー・レズニコウ国防相はTwitter上で「我が軍はこれを的確に運用する能力を披露した」とコメント。
これによって、ロシア側は戦略の変更を余儀なくされた。セルゲイ・スロヴィキン将軍の総司令官就任もその表れだ。
以来、ロシア軍はターゲットをウクライナのインフラに切り替え、全土で断水や停電を引き起している。
さて、ここで取り上げた統計はウクライナ当局の公式発表によるものであり、もちろん鵜呑みにすることはできない。一方、ウクライナ国防省は自国の被害についても統計を公開している。
ウクライナ国防省は夏の段階で「2月24日以降、少なくとも14万棟の住宅が倒壊したり損傷を受けたりしている。家を失ったウクライナ国民はすでに350万人を超えている」とツイート。以来、被災者の数は増える一方だ。
また、ウクライナ国防省のツイートによれば「5か月にわたる大規模な戦闘で、830以上の病院がロシア軍の攻撃に晒された。500あまりの薬局が倒壊・半壊したほか、救急車200台が破壊され、医師18名が死亡、43名が負傷している」という。
ウクライナ国防省は悲惨な戦場の実態を世界に伝えるため、「#russiaisaterroriststate」というハッシュタグでロシア軍の攻撃による被害の様子をシェアしている。
また、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はウクライナ国防省を通じて早期の戦争終結に向けた呼びかけを行い、市民に理解を求めたという。
その中で、ゼレンスキー大統領は「日々、犠牲者の数は増えており、時間を無駄にするわけには行きません。多くの人々が自由と真実を守る戦いに参加すれば、ロシアによるウクライナ侵攻はより早く終わりを迎えるでしょう。自由が常に勝利するということを私たちが証明するのです」と述べている。