最新鋭ドローンが制御不能に?:ロシア軍が自軍装備を撃墜
10月5日、ロシア軍はウクライナの前線付近を飛行していた自軍の最新鋭ドローンを何らかの事情で撃墜してしまったようだ。イギリスの国防省が発表した。
10月初め、ロシア軍の戦闘機Su-57と見られる航空機が自軍のドローンを撃墜する様子を捉えた動画がオンライン上で出回った。その後、このドローンはロシア軍が運用する無人戦闘航空機「S-70 オホートニク-B」であると特定されることとなった。
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さらに、墜落現場の写真も拡散され、撃墜されたドローンがS-70であることが確実になった。しかし、なぜこの機体が撃ち落とされたのかについては疑問が深まるばかりだった。
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落下地点の写真にはゆがんだ金属の残骸が写っている。複数の報道によれば、このドローンは前線からおよそ16キロメートル離れたウクライナ軍支配地域に墜落したとのこと。
軍事情報サイト「The War Zone」いわく:「事件はコスチャンチニウカ付近で発生した。地上から撮影された動画には、まず戦闘機が発砲し、破損した全翼機が地面に落下する様子が映っている」
同メディアによれば、「残骸を捉えた写真や動画によって、それがS-70であることは疑いの余地がなくなった」とのこと。さらに、この残骸によって、同機にまつわるいくつかの秘密が明るみに出ることとなった。
「The War Zone」によれば、S-70には滑空爆弾が少なくとも1発搭載されており、「何らかの運用試験」を行っていた可能性があるそうだ。つまり、S-70が戦場でターゲットを攻撃することができるかどうか確かめていたというのだ。
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同メディアいわく、「焼けてゆがんだドローンの残骸にまぎれて、翼を備えた精密誘導爆弾『UMPB D-30SN』の先端部がはっきりと確認できる」とのこと。
また、この機体はS-70シリーズ第4弾の試作機だった可能性が指摘されている。しかし、ロシア軍が自らの手でこれを撃墜した理由について、推測の域を出る説明はなされていない。
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10月15日の発表の中でこの事件について言及した英国防省は、S-70が制御不能に陥ったことから、ロシア軍は自らの手でこれを撃墜せざるを得なかったという見方を示した。
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英国防省いわく:「ロシア軍はUCAVを何とかコントロールしようと試みた挙句、最終的に撃墜するという判断を下した可能性が高い」
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同国防省はさらに、「ロシア軍は兵器開発において、またしても無様で高くつく失敗をしてしまった。S-70の改良計画はほぼ確実に遅れるだろう」とした。
英国防省によれば、S-70はスホーイ社が少なくとも10年がかりで開発しているドローンであり、ロシア軍の第5世代ステルス戦闘機Su-57と連携して運用することを前提に設計されているとのこと。
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一方、『Air & Space Forces』誌は米国防総省関係者の話として、今回の事件はロシア軍のステルス技術に関して「深い知見」をもたらすものだという指摘を伝えている。
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S-70はいわゆるドローンのような兵器だが、翼幅が20メートルもある大型機だ。
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『Air & Space Forces』誌によれば、「この機体は12~14年前から開発されてきたもので、2019年から2023年にかけて飛行試験が行われた。2024年後半には限定的な生産が始まる予定だと見られる」とのこと。
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