ロシア空軍のミス:爆撃機が自国領土ベルゴロドを誤爆
4月20日、ウクライナに向けて出撃していたロシアのスホイ34戦闘爆撃機が、国境から約40kmの地点にあるロシアの都市ベルゴロドに誤って爆弾を投下した。
BBCニュースの第一報によれば、ロシア戦闘機の誤爆によって「強烈な爆風が起こり、吹き飛ばされた車が近くの店舗の屋根に乗り上げた」ほか、直径約18メートルのクレーターが形成されたという。
この誤爆により3人の住民が負傷したほか、複数の家屋が破壊された。ただし、ベルゴロド州知事ヴィアチェスラフ・グラドコフはメッセージアプリ『テレグラム』を通じ、死者は出ていないとした。
ベルゴロド州知事の「幸運なことに死者は出ていない」という投稿をロイター通信が翻訳、ダヴィッド・ユンググレンの記事で伝えている。
ロシア国防省は、今回の被害は自軍の誤爆によるものだと正式に認めた。ただし、ことの詳細についてはほとんど明らかにしていない。
英国の『ガーディアン』紙によれば、「ロシア国防省は、空軍のスホイ34爆撃機がベルゴロド市上空を飛行中に『誤って爆弾を投下した』ことを認める声明を出した」とロシアのタス通信が報じた。
『ガーディアン』紙のピョートル・ザウアー記者によれば、当初ロシアの軍事ブロガーたちは爆撃はウクライナ軍によるものと考えており、アナリストのセルゲイ・マルコフも同じ見方で『テレグラム』にコメントを投稿している。
プーチン政権を熱心に支持するセルゲイ・マルコフは、「ウクライナは特別軍事作戦の中であらゆるものを爆撃対象としていることが明らかになった。しかし、我々はそれ以上に厳しい対応をするだろう」とコメント。『ガーディアン』紙のザウアー記者が伝えている。
一方、ロシア当局は今回の誤爆について早々に対応、自軍による誤爆であることを直ちに認めた。これは、ウクライナによるロシア本土の攻撃はプーチン大統領にとりきわめて重要な問題であることを示すと、『ガーディアン』紙のザウアー記者は指摘している。
ベルゴロド市への誤爆の2日後、爆弾が投下されたのと同じ地区で不発弾が見つかった。CNNニュースによれば周囲の集合住宅は立ち入り禁止とされ、約3,000人の住民が家を空けることになった。
CNNニュースは、「爆発物の取り扱に関する専門部隊が不発弾を調べ、爆発の危険はないと判断した」と伝えるロシアのタス通信のニュースを引用した。
これを受けてベルゴロドのヴァレンティン・デミドフ市長は、不発弾の調査および撤去が行われたことをSNSを通じて市民に伝えた。
画像:Telegram @v_v_demidov
AP通信が、「不発弾は住宅地から撤去されました。住民は自宅に戻りつつあります」というデミドフ市長の投稿を伝えている。
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同通信社によれば、不発弾の発見後に予防措置として集合住宅17棟が立ち入り禁止とされたものの、その2日前に起こった誤爆との関連性については明らかにされていないという。
テレグラムによる写真 @v_v_demidov
ウクライナで続いている戦争で、ロシアの市街地が自国軍のミスにより危険にさらされたのはこれが初めてではない。2022年10月にはロシア軍用機がウクライナに近い港湾都市エイスクに墜落、集合住宅が大きな被害に遭った。
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CBSニュースによれば、このときの軍用機墜落事故で集合住宅は炎上、少なくとも14人が死亡したほか、病院に運ばれた負傷者のうち1人が死亡し死者数は15人に上った。さらに多くの負傷者も出ている。
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