ロシア国籍を取得したエドワード・スノーデン
ロシア人の多くが他国のパスポート取得を望む中、米国出身のエドワード・スノーデンはロシア国民となったことを喜んでいるようだ。
スノーデンは2013年以来、米国当局による追及を避けるためロシアに亡命していたが、弁護士によれば、ロシア政府に忠誠を誓うことで2022年12月2日に同国のパスポートを取得したという。
『ガーディアン』紙は、担当弁護士アナトリー・クチェレナの言葉として、スノーデンはロシア国籍の取得によって身柄引き渡しを阻止できることを喜んでいる、と伝えた。
クチェレナ弁護士いわく:「もちろん、スノーデンは喜んでおり、国籍を付与したロシア連邦に感謝しています。彼は今やロシアの市民権をすべて手にしたのです」
クチェレナ弁護士はさらに、「最も重要なのは、ロシア連邦憲法の定める所により、スノーデンが他国に身柄を引き渡される可能性はもはやないということです」と付け加えた。
スノーデンは、ウラジーミル・プーチン大統領が法令に署名したことで9月にロシア国籍を付与されていたが、パスポートの受け取りに当たってロシア連邦への忠誠を誓う必要があったという。
ロシアの法律によれば、新たにロシア国籍を取得した者は、「ロシア連邦の憲法および法律、市民権や自由を遵守し、国家および社会に貢献するためロシア連邦国民としての義務を果たさなくてはならないほか、ロシア連邦の自由と独立を擁護し同国に忠誠を誓って、ロシアの文化・歴史・伝統を尊重しなくてはならない」とされている。
エドワード・スノーデンは現在、妻のリンゼイ・ミルズやロシアで誕生した2人の子供とともに、同国内で暮らしているとされるが、場所は公開されていない。複数のメディアによれば、ミルズもロシア国籍の取得を希望しているという。
9月に国籍が認められたとき、スノーデンはTwitterで次のようにコメントしていた:「両親や妻と何年も会えなかったんです。その上、息子たちと引き離されるなんて真っ平です」
さらに、「2年間の待機と10年近い亡命生活を経験した私たち家族にとっては、束の間の安定でもありがたいものです。家族や私自身のプライバシーを尊重してください」とコメント。
エドワード・スノーデン(39) はコンサルタント会社のシステム分析官だったが、2013年にアメリカ国家安全保障局(NSA)の機密情報をリークしたとして指名手配されることに。
米国司法省は2013年7 月にスパイ容疑で捜査を開始、パスポートの失効手続きも行われたため、スノーデンは亡命先を求めてロシアに向かうこととなった。
モスクワ国際空港のターミナルで1ヵ月ほど過ごした後、結局スノーデンはロシア滞在ビザを取得することとなった。
スパイ容疑につながることとなってしまった行為について尋ねられたスノーデンは、米国のためを思って機密情報をリークしたと主張している。
スノーデンが暴露した情報によって、米国政府が広範なデジタル監視網を敷いていることが判明。テクノロジーやサイバーセキュリティに対する米国市民の意識を一変させることとなった。
米国国務省のネッド・プライス報道官はワシントンで行われた記者会見の中で、スノーデンがロシア連邦に忠誠を誓ったことについて驚きはないとコメント。
画像:YouTube, The Guardian
プライス報道官いわく:「スノーデン氏は以前からロシアへの忠誠を示し続けてきた。今回の措置はそのことを公式化したに過ぎない」
画像:YouTube, MSNBC