ウクライナ侵攻の責在はどこに?ウクライナ市民の8割近くが「ロシア国民全体に責任がある」と回答

ウクライナで行われた世論調査
ロシア国民全体の責任
戦争に関する調査
処罰感情の高まり
戦争を長引かせかねない国民感情
完全勝利
勝利の意味するところ
戦争犯罪人の処罰
賠償金の請求
NATO事務総長のコメント
決断を下すのはウクライナの人々
和平合意は実現可能?
ゼレンスキー大統領の最近の発言
「真の平和が必要」
和平交渉は当面なし
投票の詳細
ウクライナで行われた世論調査

ロシアによるウクライナ侵攻開始から2年半、終結する気配のみえない状況の中、ウクライナで世論調査が行われた。その結果、和平への厳しい道のりが改めて浮き彫りとなった。

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ロシア国民全体の責任

ウクライナ侵攻に関する責任の所在について、ウクライナ人の78%がクレムリンの指導部にのみあるわけではないと答え、ほとんどの人々がロシア国民全体の責任を問う姿勢を取っていることがわかった。

戦争に関する調査

国際ウクライナ戦勝センター(International Center for Ukrainian Victory)による意識調査を実施したのはウクライナのシンクタンク「イリコ・クチェリウ民主主義イニシアチブ財団(Ilko Kucheriv "Democratic Initiatives" Foundation)」、調査結果はウクライナの市民団体「市民ネットワークOPORA(Civil Network OPORA)が公開した。

 

処罰感情の高まり

調査結果は和平実現の難しさを如実に表している。例えば、回答者の16%が戦争犯罪を目撃したと述べているほか、戦争犯罪を計画・承認・実行した人物は処罰されるべきだと考える人は57%に上っている。

戦争を長引かせかねない国民感情

もちろん、戦争犯罪に手を染めた者が国際法に則って裁かれるべきなのは言うまでもない。しかし、ロシアとの和平を難航させることになりそうな要因は他にもある。

 

完全勝利

調査結果によれば、回答者の77%が自国の完全勝利を確信していると答えたほか、単にウクライナが勝利すると答えた人も16%いたという。しかし、ウクライナにとって「勝利」とは何を意味するのだろう?

 

勝利の意味するところ

これについて、回答者の70%が勝利とは占領地すべての解放だとした。さらに、捕虜や連れ去られた人々をロシアが全員ウクライナに返還することも含まれるとした人は60%に上っている。

戦争犯罪人の処罰

また、ウクライナで戦争犯罪に手を染めた者の拘束を勝利の条件に挙げた人は51%。しかも、大多数の人々が賠償金を請求すべきだと考えていることがわかった。

 

賠償金の請求

ウクライナはロシアに対して賠償金を請求すべきだと考える回答者は95%に上っている。しかし、40%の人は実際にロシアが賠償金の支払いに応じるとは考えていないようだ。いずれにせよ、和平合意の道のりが容易ではないことは明らかだ。

NATO事務総長のコメント

8月17日、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は和平交渉に応じる条件が整ったかどうか判断するのはウクライナだと述べ、NATOの立場を再び明確にしたという。ロイター通信が報じた。

決断を下すのはウクライナの人々

ストルテンベルグ事務総長いわく:「和平交渉の条件が整ったかどうか判断できるのはウクライナの人々だけです。また、交渉の場で合意の内容を決めるのも彼らです」

和平合意は実現可能?

しかし、国民の大多数が自国の完全勝利を掲げている状況で、和平合意を実現するのは至難の技だろう。実際、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアが同国から撤退するまで和平交渉には応じないと繰り返している。

ゼレンスキー大統領の最近の発言

ゼレンスキー大統領は6月、アフリカ各国の首脳陣と行った会談のなかで和平交渉に応じない姿勢を改めて示したという。そして、記者会見では「占領者たちが我が国に残ったままロシアとの交渉に応じるということは戦争を凍結し、痛みや苦しみを長引かせることにほかなりません」と説明した。

「真の平和が必要」

ロイター通信の報道によれば、ゼレンスキー大統領は「我々に必要なのは真の平和です。したがって、我が国の領土全体からロシア軍が完全に撤退することを求めているのです」と強調したとのこと。

和平交渉は当面なし

今回の調査に回答したウクライナの人々は大部分がゼレンスキー大統領の立場を支持しており、ウクライナ政府が妥協して和平交渉に臨む可能性は低い。

投票の詳細

『ウクラインスカ・プラウダ』紙の解説によれば、今回の世論調査は2023年5月から6月にかけて18歳以上の回答者2001人を対象に対面で行ったという。

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