ロシアで2025年度予算が成立:軍事費が大幅に増大
12月1日、ロシアのプーチン大統領は2025年の予算案を承認した。成立した予算では、ウクライナへの全面的軍事侵攻が続く中、軍事費の大幅な増大が見られた。
ロシアの2025年度予算では、全体の実に32.5%が軍事費に充てられるという。複数のメディアが報じている。AP通信によると、2024年度の予算では軍事費は全体の28.3%だったという。
ロシアは2025年度の軍事費に13兆5,000億ルーブル(約20兆円)を充当するという。AP通信がロシア政府のウェブサイトを元に報じている。
予算案は、ロシアの国家院及び連邦院には11月下旬に承認されていた。『ザ・モスクワ・タイムズ』紙は「(軍事費は)推計GDPの6.31%という、歴史的に見ても高い数値となった」と報じている。
同紙はさらにこう続けている:「軍事・防衛費の合計は、2025年には教育や医療、社会保障、経済成長への支出を上回る見込みだ」ただし、2026年や2027年には軍事費への支出は減少するとの予測も述べられている。
ロシアが2025年度予算案に巨額の軍事費を盛り込んだということは、今後もウクライナへの軍事侵攻を継続する意志があるということだろう。アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ元大統領が再選を決めたことで地政学的状況に変化があったものの、その方針は変わらないようだ。
軍事費が増大しているのはもちろん、1000日を超えてもいまだ収束の見通しが立たないウクライナ侵攻の影響だ。侵攻を通じて、ロシアは多くの装備を失い経済的損失を出しているのみならず、人的資源の損耗にも悩まされている。
AP通信はこう書いている:「ロシアによるウクライナへの全面的軍事侵攻は、第二次世界大戦以来欧州で起きた紛争としては最大級のものであり、両陣営から大量のリソースを奪っている」だが、今回の紛争でロシアが被った損耗の実態は明らかになっていない。
2024年2月に、米国防総省が今回の軍事侵攻を通じてロシアが被った損失を試算している。それによると、軍事作戦だけに限っても、ロシアはこの2年で210億ドル以上の損失を出しているという。ロイター通信が報じている。
米国防総省の試算では、2026年までに予想される経済成長において、ロシアが被った損失は1兆3,000億ドル(約200兆円)にも及ぶという。だが、戦争による損失の全貌を把握できるのは、戦争終結から長い時間が経ってからになるだろう。
11月28日、ウクライナのゼレンスキー大統領は来年度の予算案に署名した。ロシアの予算案と比べると、軍事費の額はやや見劣りする水準となっている。
『キーウ・インディペンデント』紙によると来年度のウクライナの防衛費は2兆2,000億フリヴニャ(約8兆円)とされ、GDPの26.3%となるという。