ロシアが南極で世界最大規模の油田を発見:新たな対立の火種?
『デイリー・テレグラフ』紙が報じたところによれば、ロシアが南極で非常に大規模な油田を発見したという。しかし、西側諸国はこれが新たな対立の火種になりかねないとして警戒を強めているようだ。
というのも、南緯60度以南の地域は南極条約によって領有権の主張が凍結されており、ロシアを含む締約国は南極で研究目的以外の資源採掘を行ってはならないとされているのだ。
資源採掘一般が禁止されているため、当然のことながら、商業利用を前提とする油田調査や開発も認められていない。
さて、南極条約によって領有権が凍結されていると言っても、主張そのものが撤回されたわけではない。実際、英国やフランス、アルゼンチンをはじめ、7ヵ国が南極の一部に対して領有権を主張している。気がかりなのは、今回ロシアによって発見された油田が、英国が領有を主張する地域内にあるということだ。
『デイリー・テレグラフ』いわく、今回ロシアが発見した油田・ガス田の埋蔵量は推定5,110億バレルで、世界最大規模とのこと。
また、同紙によれば、油田調査を行ったのはロシア国営の地質調査会社「ロスゲオ」が所有する極地調査船「アカデミック・アレクサンドル・カルピンスキー」号だったという。
一方、英政府によれば、ロシアは英国が領土とみなす地域への立ち入りにあたって、「研究目的」だと説明していたようだ。
5,110億バレルという埋蔵量はこれまで世界最大とされてきたベネズエラ(3,038億バレル)や第2位のサウジアラビア(2,976億バレル)をはるかに上回るものだ。
『デイリー・テレグラフ』紙によれば、現在ロシアには採掘可能な原油がおよそ800億バレル眠っているとされるが、南極における埋蔵量を加えれば、7倍あまりに増加することとなる。
気になるのはロシア政府の対応だが、今のところ、いかなる声明も発表されていない。はたして、ロシアは南極条約を遵守するのだろうか? それとも、西側諸国とのさらなる関係悪化を覚悟の上で、開発に乗り出すのだろうか?
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