ロシア軍、自爆ドローンに危険な燃料気化爆弾(真空爆弾)を搭載
ウクライナ軍が、ロシアの自爆ドローン「シャヘド136」の撃墜に成功した。これを調べたところ、弾頭に非常に危険な燃料気化爆弾が用いられていたことが判明した。テレグラム上でウクライナ軍のチャンネルに証拠の動画が投稿されている。
動画を投稿したのはウクライナ軍が運営するテレグラムチャンネルで、ドローンの残骸の中に燃料気化爆弾が含まれていたとされている。ただし、この主張は他メディア等によって独自に確認されてはいない。
画像:Telegram @operativnoZSU
ウクライナの軍事ニュースサイト「Militarnyi」もこの主張を報じている。それによると、ドローンの残骸は戦場で発見されたもので、ウクライナ軍兵士が調査したところ燃料気化爆弾を搭載していたことが判明した、ということだ。
画像:Telegram @operativnoZSU
ウクライナ軍が発見した弾頭には「TBBCH-50M」と記載されており、ドローンに搭載されていたものだと結論づけたという。「Militarnyi」によると、そのドローンは電子戦システムによって墜落させられたか、撃ち落とされた可能性もあるとされている。
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燃料気化爆弾は重く、弾頭はおよそ50kgほどにもなる。だが、ロシアがドローンに同種の弾頭を搭載してウクライナで使用したのはこれが初めてではない。
画像:Telegram @operativnoZSU
「Militarnyi」によると、ロシアは遅くとも2024年4月にはすでに燃料気化爆弾を搭載したドローンの運用を始めていたという。同サイトはロシアの関係筋からその情報を得たとしているが、詳細は明かされていない。
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燃料気化爆弾を搭載したドローンはすべて、型式番号が「Y」から始まるのだという。また、同サイトによると、ロシアはイラン製やロシア製の通常弾頭版も利用しており、イランモデルは「M」から、ロシアモデルは「K」あるいは「KB」から番号が始まるとされる。
画像:Telegram @operativnoZSU
燃料気化爆弾は「vacuum bomb(真空爆弾)」とも呼ばれ、広範囲に破壊的な影響を及ぼすため議論もある兵器だ。だが、その威力からロシア軍はウクライナ侵攻でも利用している。
画像:Wiki Commons By Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0
燃料気化爆弾は2段階の爆発プロセスを経る。第1段階では小規模な爆発が起き、容器が破裂して空気中に燃料が拡散される。このいわば「燃料の雲」は、しっかりと気密されていない限り建造物の内部などにも侵入するという。BBCニュースが解説している。
画像:Wiki Commons By Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0
そして第2段階ではもう一度爆発が起こり、その燃料の雲に点火、巨大な爆発が起き一帯の酸素が使い尽くされるのだという。この爆発は兵器や建造物を破壊し得る規模のものだが、なによりも人体に対して非常に破壊的な効果があるとされる。
画像:Wiki Commons By Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0
CIAによる研究ではこう記されている:「爆心地に近い人間は跡形も残らない。周辺部にいたものは、鼓膜の破裂や内耳の破壊、重度の脳震盪、肺の破裂、臓器の損傷、視力の喪失など、多くの目には見えない損傷を被る」