ロシア、ウクライナへの攻撃に北朝鮮製ミサイルを使用か
ロシア軍はこれまで9回、北朝鮮製のミサイルを使ってウクライナを攻撃したという。米高官がそのことでロシアを非難している。この問題について、現時点でわかっていることと、なぜそれが重要なのかをチェックしてみよう。
2月6日の国連安全保障理事会で、アメリカのロバート・ウッド国連特別政務大使代理がロシア政府を非難した。北朝鮮製のミサイルでウクライナを攻撃したというのがその理由だ。
ロイター通信によるとウッド大使代理はこう述べたという:「ロシアは朝鮮民主主義人民共和国から供給された弾道ミサイルを少なくとも9回ウクライナに向けて発射している」また、同通信はウッド大使代理が北朝鮮を正式名称で呼んだということも指摘している。
ウッド大使代理はさらに「ロシアおよび朝鮮民主主義人民共和国の双方の責任が問われるべきである」と続け、この行いが「長期にわたって継続している安保理決議による制裁」を毀損するものだと指摘している。
「ビジネス・インサイダー」によると、国連が開いた記者会見ではこの非難について言及されなかったという。同サイトは、もし仮にアメリカによる指摘が真実なら、ロシアが北朝鮮製兵器への依存を強めつつある傾向を示しており重要な意味を持つとも指摘している。
ロシアのプーチン大統領は2023年9月に北朝鮮の金正恩総書記と会談、ウクライナ侵攻などの軍事問題や北朝鮮の秘密衛星計画などについて話したとされる。
当時プーチン大統領は両国間での軍事協力の可能性を示唆したとされるが、それ以上の詳細は明らかにならなかった。だが、北朝鮮製の兵器は会談後すぐにロシアへと入り始めていたようだ。ロイター通信が報じている。
たとえば、2023年10月には、アメリカで行われた衛星画像の解析結果から北朝鮮からロシアに1,000以上の武器の入ったコンテナが運び込まれたと考えられている。『ニューヨーク・タイムズ』紙が伝えた。
コンテナの中にどのような武器が入っていたのかという点に関する詳細は明らかになっていない。だが、アメリカ政府はロシアによるミサイル攻撃について、北朝鮮から提供された武器を利用した証拠を提示している。
アメリカ国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は1月4日、記者会見でこう語った:「我々の情報によると、朝鮮民主主義人民共和国は最近ロシアに数十発の弾道ミサイルおよびその発射器を提供したと考えられる」
カービー広報調整官によると、ロシアが12月30日に実行した攻撃には北朝鮮製の弾道ミサイルが少なくとも1発含まれていたという。さらに、1月2日の攻撃には複数の北朝鮮製ミサイルが利用されていたとされた。1月4日の会見時点ではこれらの攻撃による被害状況は調査中の段階だった。
カービー広報調整官はこう語っている:「ロシアと北朝鮮は今回の攻撃から戦訓を得たと考えられ、ロシアは今後北朝鮮製のミサイルの使用を拡大、ウクライナの民間インフラや無辜の市民の殺害に利用していくと予想される」
ロシアがウクライナへの攻撃に北朝鮮製ミサイルを利用しているという証拠を挙げているのはアメリカだけではない。韓国の黄浚局(ファン・ジュングク)国連大使もロシアが北朝鮮製のKN-23ミサイルを3度使用したとして非難している。
2月7日、ハルキウ州警察のセルヒイ・ボルヴィノフ調査局長はロシアがKN-23ミサイル5発を利用して同州を攻撃したとして非難、ミサイルの残骸の写真が証拠として提供された。
画像:Facebook @СергійБолвінов
「ビジネス・インサイダー」によるとボルヴィノフ調査局長の主張の真否は検証できなかったという。だが、仮にこれが事実なら、今後アメリカは北朝鮮製弾道ミサイルの有効性を検討することができるだろうというのが専門家たちの見解とされる。
画像:Facebook @СергійБолвінов
戦略国際問題研究所のラモン・パチェコ・パルドは「ビジネス・インサイダー」にこう語っている:「たとえば仮に、ロシア製ミサイルよりも北朝鮮製ミサイルの方がウクライナによる迎撃成功率が高かったとします。すると、北朝鮮の技術はまだそこまで進展していないと判断できるわけです」