メキシコ初の女性大統領、クラウディア・シェインバウム氏とはいったいどんな人物?
今年6月2日に行われたメキシコ大統領選で大勝したクラウディア・シェインバウム氏。10月1日に晴れて就任式が行われ、同国初の女性大統領として2030年までメキシコを率いるシェインバウム氏はどういった人物なのだろうか。
大統領選について同国の選挙管理当局は、与党「国家再生運動(MORENA)」に所属するシェインバウム大統領の得票率は58~60%だったと伝えた。
シェインバウム大統領はライバルのショチトル・ガルベス候補を30ポイント引き離して当選。一方、「市民運動(Movimiento Ciudadano)」に所属するホルヘ・アルベス・マイネス候補の得票率は10%に留まった。
エンジニアリングの専門家から政治家に転身したシェインバウム大統領。しかし、その素顔はあまり知られていない。
シェインバウム大統領がいかにしてメキシコ初の女性大統領となったのか、その道のりを振り返ってみよう。
2018年のメキシコ大統領選では、国民再生運動(MORENA)のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏が当選。それまで交代で政権を担ってきた国民行動党(PAN)と制度的革命党(PRI)が下野し、現代メキシコ政治における転換点となった。
ただし、メキシコ大統領の任期は憲法によって1期までと定められており、誰がオブラドール大統領の後継者となるのかが注目を集めていた。
最初に後継者候補として名前が挙がったのはマルセロ・エブラルド外相だった。その後、メキシコシティ市長を務めたこともあるシェインバウム氏が急浮上する。
テレムンド放送によれば、シェインバウム次期大統領は「メキシコは女性大統領、女性宇宙飛行士、女性エンジニアを受け入れる用意があります。メキシコの女性たちは以前からその準備ができているのです」と述べた。
シェインバウム次期大統領は1962年にメキシコシティで誕生した。スペイン紙『エル・パイス』によれば、東欧出身のユダヤ系移民3世で、父は化学者、母は生物学者だという。
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メキシコ国立自治大学で物理学の学士号および環境工学の博士号を取得。
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その後、ローレンス・バークレー国立研究所に在籍したほか、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に参加。IPCCは2007年にアル・ゴア氏とともにノーベル平和賞を授与されている。
アカデミックな世界で活躍してきたシェインバウム次期大統領だが、実は政界におけるキャリアも短くない。大学時代には、制度的革命党(PRI)から分派した民主革命党(PRD)の青年部で活動していたのだ。
大学時代のシェインバウム氏はPRDの創立メンバーだったカルロス・イマス・ヒスペルト氏と結婚。しかし、メキシコメディア「Expansión」いわく、2人は2016年に「協議離婚」したそうだ。
ウェブサイト「Newtral」によれば、シェインバウム次期大統領に転機が訪れたのは2000年。当時、メキシコシティ市長だったオブラドール現大統領に見出され、同市の環境局長に就任したのだ。
シェインバウム次期大統領はオブラドール氏のもとで2006年までメキシコシティの環境局長を務めたのち、2015年から2017年にかけては同市最大の地区、トラルパンの区長を任されていた。
さらに、2018年にはメキシコシティの市長に就任し、進歩的な政策を推進することで注目を集めた。
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EFE通信はメキシコシティ市長時代のシェインバウム氏の実績として、女性に対する家庭内暴力の被害を啓発したほか、7つの中学校、2つの病院、2つの大学を建設したことを挙げている。
政治家に毀誉褒貶はつきものだが、シェインバウム次期大統領も例外ではない。メキシコメディア「Expansión」 いわく、2021年にはメキシコシティ地下鉄の高架橋が崩落し26人が死亡、96人が負傷する惨事が発生、同氏の監督義務を問う声も挙がったという。
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環境工学の専門家やメキシコシティの市長として実績を重ねてきたクラウディア・シェインバウム大統領。10月1日に就任式を終え、人口1億2000万人あまりの多民族国家、メキシコをどのように舵取りしてゆくのか、その手腕が問われることになる。
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