ゼレンスキー大統領、ポーランドにミグ29戦闘機の供与を求める
ゼレンスキー大統領は8月27日に行われた記者会見の中で、ウクライナの防空体制を強化するため、旧式のミグ29戦闘機を提供するようポーランドに要請。
ミグ29戦闘機の供与を求めたられたポーランド側は、その可能性こそ否定しなかったものの、供与については時間がかかると述べ、慎重な姿勢を示している。
ウクライナ国営のウクルインフォルム通信によれば、ゼレンスキー大統領は「わが国の防衛力に対するポーランドの関心は若干、低下しています。ポーランドは最大限の支援をしてくれたと思いますが、おそらくまだ残っているものがあるはずです」と述べたそうだ。
同大統領はさらに、「これは具体的な話です。つまり、ウクライナは貴国のミグ戦闘機、航空機を切実に必要としているのです」と発言。ポーランドのミグ29戦闘機は装備が充実している上、ウクライナ軍のパイロットは追加の訓練なしでこの機体を扱うことができるとした。
ゼレンスキー大統領いわく:「私はポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領やドナルド・トゥスク首相とこの件について相談しました。あらゆるレベルの会合を行いましたが、残念ながら、まだ前向きな決定はなされていません」一方、ポーランド側はヴワディスワフ・コシニャク=カミシュ国防相がコメントを発し、ゼレンスキー大統領の主張に対する立場を表明した。
ポーランドのコシニャク=カミシュ国防相はこの件について、ウクライナはポーランドからさらに多くのミグ29戦闘機を受けとることになるが、それはポーランドに後継機のF-35が届いてからだと説明。
『キーウ・インディペンデント』紙によれば、コシニャク=カミシュ国防相は「ウクライナが大量の武器を必要としているのはわかりますが、ウクライナ側もポーランドが防衛力を維持しなくてはならないことを理解する必要があります」と述べたという。
同国防相はさらに、「ポーランドが後継機を受け取ってはじめて、ミグ29のような旧式の航空機を供与に回すことができるようになります。旧式といってもポーランドの領空防衛のために、現在も使用されているのですから。判断はその時が来てから下すことになります」とした。
ニュースメディア「ポリティコ」によれば、ポーランドはロッキード・マーティン社製のF-35「ライトニング II」戦闘機を32機発注し、その総額は46億ドルに上ったというが、ポーランドに納品されるのは2026年以降になるとのこと。
国立アメリカ空軍博物館によれば、ミグ29戦闘機は1970年代に設計された機体であり、特に新しい戦闘機ではない。しかし、ウクライナ軍にとっては、ロシア軍との戦闘における強力な武器になっているという。
『The National Interest』誌はウクライナ軍が運用するミグ29戦闘機について、「旧式であるにもかかわらず、ロシア軍からウクライナを防衛する上で重要な役割を果たしてきた」と指摘。ウクライナ空軍はこの戦闘機を「ロシア軍の航空優勢を制限し、制空権を争う」ために使用しているとのこと。
『フォーブス』誌のデイヴィッド・アックス記者によれば、ウクライナは開戦時点でミグ29戦闘機をおよそ50機保有していたと見られ、ポーランドからおよそ20機、スロバキアから10機を追加で受けとったという。
ゼレンスキー大統領は8月27日の記者会見の中で、ウクライナの防空全般についてもポーランドの支援が必要だと述べた。
ウクライナは自国に飛来するロシア軍ミサイルを撃墜するためポーランドに協力を求めているが、ゼレンスキー大統領によれば、ポーランド側はNATO諸国の支持を取り付けるまで、判断を保留しているようだ。
ウクルインフォルム通信によれば、ゼレンスキー大統領は「この件については何度も議論を重ねてきましたが、ウクライナは複数の国々の支持を必要としていると思われます。ポーランドは(中略)単独で決断を下すのをためらっており、NATO加盟国の支持を求めているのです」とコメント。
一方、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は8月26日、これまでポーランドが行ってきたウクライナ支援について、軍事面だけでもおよそ30億ドルに上ると発表した。
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