ベラルーシのロシア空軍基地、空中警戒管制機「A50」の損傷について
ベラルーシ国内のロシア空軍基地において、最近異変があったという。まず声明を出したのは、ベラルーシ国内のパルチザン組織だった。
2月26日、ベラルーシの反政府派組織「BYPOL」のリーダーたちは声明を出した。彼らの組織が、ベラルーシの首都ミンスク近郊にある軍用飛行場をドローンで襲撃し、ロシアの空中警戒管制機「A50」を破壊したという。
「(攻撃は)ドローンによって行われ、作戦に関与しているのはベラルーシ国民である」というアレクサンドル・アザロフ(BYPOLのリーダー)の発言が同組織の公式テレグラムに引用されていると、ロイター通信が指摘している。
この「BYPOL」という組織は、そもそもは元・法執行官が集まって作った団体で、現在リトアニアに亡命中のベラルーシ反政府勢力を支援しているグループである。
BYPOLは、『ガーディアン』紙の取材に応じるも、どのようなタイプのドローンがミンスクのマチュリシチ空軍基地を攻撃したかについては定かにしていない。だが、攻撃に参加した人々はすでにベラルーシの国外に逃れており、無事だとしている。
BYPOLが破壊したとする空中警戒管制機「A50」は、ロシア空軍が保有する9機のうちの1機で、その値段は3億3000万ドルであると同パルチザン組織は述べている。これも『ガーディアン』紙が伝えた。
「被害は大きく、飛行機はもはや飛べる望みはない」と、BYPOLはテレグラムのチャンネルに書いている。「航空機の前部と中央部が損傷し、アビオニクス機器(航空電子工学装置)とレーダーアンテナが損傷した」
BYPOLはほかにも、マチュリシチ空軍基地の空中警戒管制機「A50」への攻撃は、ロシア軍の雪かき要員が「航空機のそばで作業している」最中に実行に移されたと書いている。さらに冗談めかして、おそらくはロシア兵のタバコのせいで、その航空機は破壊されたのだろうと付け加えている。
「これまでロシアの軍施設で一度ならず起きているように、おそらくは今回も誰かが火気厳禁を守らず、航空機のそばで喫煙していたのだろう」と、同パルチザン組織はテレグラムに書いた。
ベラルーシの反体制活動のリーダー、スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤの顧問であるフラナク・ヴィアチョルカは、今回のマチュリシチ空軍基地への攻撃を評して、ウクライナ戦争開始以来、もっとも成果を上げたパルチザンの作戦であるとした。
フラナク・ヴィアチョルカはツイッターでこう述べた:「これは2022年から今にいたるまで、もっとも成功した牽制作戦である」
写真:LinkedIn @franak
「2名のベラルーシ人が作戦を実行した。ドローンを使って作戦をおこない、同国を脱して今は安全な場所にいる」と、ツイートにさらに付け加えた。
『ガーディアン』紙によると、この攻撃についてロシア政府高官らはコメントを拒否しているという。ロシアのジャーナリストたちが問い合わせたところ、クレムリンの報道官ドミトリー・ペスコフはこう告げた:「本件について、何も言うべきことはない」
BYPOLはベラルーシ市民に対して警告を発している。マチュリシチ空軍基地の襲撃について、ソーシャルメディアにコメントを投稿するのは慎重を期したほうがいい。アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の政権は、襲撃について肯定的なコメントをネットに残した市民をはやくも取り締まっているからである、とBYPOLは言う。
「BYPPOLが得た情報によると、政府の取り締まり班は、ソーシャルネットワークを掘りかえし、マチュリシチ空軍基地の事件についてコメントをした人を特定すべく動き出したようである」と、同パルチザン組織はテレグラムに記した。
「親愛なるベラルーシの同胞よ。気をつけてほしい。ネットのセキュリティ環境について、よく目を配ってほしい。くれぐれも襲撃のニュースにコメントは残さないこと。自身をふたたび危険にさらすのは避けていただきたい」と、同パルチザン組織は書いている。
3月7日、ベラルーシの国営通信「ベルタ」はルカシェンコ大統領の声明を伝えた。ベラルーシ政府は当初、この襲撃はニセの情報だとしていたが、この声明で一転して襲撃は事実であると認めた格好になった。ただ、航空機への損傷は軽微にとどまったとしている。