敵ドローンを次々と仕留めるウクライナ軍:機関銃を搭載したヘリコプターが活躍
ロシアと攻防戦を繰り広げているウクライナ軍は、敵軍の偵察ドローンを撃ち落とすために機関銃をとりつけたヘリコプターを導入した。8月後半に軍が公開した複数の動画を見る限り、この戦術はみごとに効果を発揮しているようだ。
ロシア軍は開戦当初からウクライナ領空に大量のドローンを送り込んでいるが、この種の兵器に対処する上で、従来の方法には問題があった。
実際、米陸軍士官学校の陸軍サイバー研究所で副所長を務めるポール・マクスウェル氏は2024年1月に、「安価なドローンを無力化するために、1発数万ドル(高価なものは数百万ドル)もするミサイルを用いるのは割に合いません」と書いている。
つまり、安価なドローンに高価な地対空ミサイルで対抗したのでは意味がないのだ。そこで、ウクライナ軍はドローンを迎え撃つための独創的でリーズナブルな方法を模索して来た。
『フォーブス』誌のデイヴィッド・アックス記者によれば、ウクライナ軍は敵のドローンを撃墜するため、機関銃を載せたトラックの部隊からショットガンを携えた旧式の航空機まで、さまざまな方法を試行錯誤してきたという。
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そんな中、ウクライナ軍が考案した最新のドローン対策が、敵のドローンに体当たりする高速ドローンの導入だ。また、比較的低速の敵ドローンについては、ヘリコプターで撃ち落とす方法も用いられている。
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8月中には、ウクライナ軍ヘリの乗員がロシア軍ドローンを撃墜する様子を捉えた動画が複数公開されており、どうやら新たな戦術は功を奏しているようだ。
ある動画には、ウクライナ軍のMi-8ヘリに乗り込んだ銃手がパイロットと副パイロットの間に陣取り、飛行中のロシア軍ドローンに向かって射撃を行い、これを破壊する様子が捉えられていた。
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前出のアックス記者いわく、この状況は第2次世界大戦で「重爆撃機の機首に陣取った銃手が敵の戦闘機から自機を守っていた」ことを彷彿とさせるものだ。
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また、ウクライナの軍事ニュースサイト「Militarnyi」は、ロシア軍が運用するイラン製ドローン「シャヘド136」をウクライナ軍のMi-8ヘリが撃墜する様子を捉えた動画について、8月27日に報道を行っている。
この動画は地上から撮影されたもので、Mi-8ヘリがロシア軍ドローンを捕捉し、機体側面に設置された銃座から発砲して、ドローンを撃ち落とす様子が映っていた。
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「Militarnyi」によれば、「銃弾の直撃を受けたロシア軍のシャヘドドローンは猛スピードで落下し、地面に衝突して爆発した」とのこと。
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また、ドローン撃墜の様子を捉えた別の動画からも、Mi-8ヘリの機体側面にある銃座を利用すれば、シャヘド136のような徘徊型ドローンをあっという間に撃墜できてしまうことがわかるだろう。
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8月25日にアナトリー・シュテファン氏がX上で公開した動画には、ウクライナ軍ヘリが実施した対ドローン攻撃の様子を銃手の視点から撮影したシーンが含まれていたのだ。
動画:X @Shtirlitz53
「Militarnyi」によれば、「ヘリコプターと自爆ドローンの相対速度がゼロになったとき、機関銃『7.6ミリメートルFN MAG』を携えた銃手がドローンに向けて発砲し始めた」とのこと。
画像:X @Shtirlitz53
同サイトいわく、「正確な射撃により、シャヘドドローンは胴体とラダーにダメージを受け、急速に落下し始めた」そうだ。
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