プーチン大統領の訪朝で、ロシアと北朝鮮の関係強化に気をもむ中国
ウクライナ侵攻をめぐって西側諸国との対立が深まる中、今月プーチン大統領は24年ぶりに北朝鮮を訪問。平壌で金正恩総書記との会談に臨み、世界はその模様を固唾を呑んで見守った。
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しかし、『ル・モンド』紙によれば、両国にとって主要な同盟国であり、貿易パートナーでもある中国が意外にも露朝関係の強化に気をもんでいるようだ。
ロイター通信いわく、中国はいっそうの関係強化を図る露朝とは距離を保っており、「三国同盟」に巻き込まれて他国との外交に支障をきたすのを避けたい構えだ。
また、カーネギー国際平和財団のトン・ジャオ氏はロイター通信に対し、「中国は北朝鮮とロシアが軍事分野で連携を深めていることに、一定の懸念を抱いています。というのも、今のところ中国が独占している北朝鮮に対する地政学的影響力が低下してしまうかもしれないからです」と解説。
ジャオ氏いわく:「中国はまた、中露朝の間に事実上の同盟関係があるという印象を与えないよう、注意深く行動しています。そのような印象は西側の主要国と現実的な関係を維持する上で不都合だからです」
プーチン大統領の訪朝は実に24年ぶりで、ウクライナ侵攻をめぐって国際的に孤立する同大統領にとっては稀な外国訪問となった。
一方、金正恩総書記は昨年、極東ロシアを訪問し、プーチン大統領と会談を行ったが、これは同総書記にとってコロナ禍以降、初となる外国訪問だった。
中東衛星放送アルジャジーラによれば、金正恩総書記はウクライナ侵攻に関してロシアに対する「全面的な支持と連帯」を表明したが、中国は可能な限り中立を保とうとしているという。
一方、ロシアは北朝鮮が数十年にわたって米国による「覇権主義的で帝国主義的な政策」に立ち向かってきたことを賞賛。
アルジャジーラによれば、両首脳は有事における相互軍事支援などを明記した「包括的戦略的パートナーシップ条約」を締結したとのこと。
条約内容の詳細は明かされていないが、プーチン大統領はロシアまたは北朝鮮が攻撃を受けた際の「相互支援」を定めた防衛的な内容だと説明している。
ロイター通信は中国とロシアがウクライナ侵攻勃発の数日前に「限りない」友好関係を宣言したことに言及しているが、露朝関係の強化が中国との連携に影を落とす可能性もあるのだ。
開戦から2年余りが経過し、米国の情報機関は北朝鮮が食糧や技術と引き換えに、ロシアに対する武器支援を行っていると非難している。このような中、プーチン政権は中国ですら躊躇する西側諸国との全面対決をも厭わないパートナーを見出したということなのかもしれない。
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