プーチン大統領はバイデン現大統領を支持:気になるトランプ氏の反応は?
2月14日、ウラジーミル・プーチン大統領は国内メディアのインタビューで、アメリカの次期大統領にはドナルド・トランプ氏よりジョー・バイデン現大統領が望ましいと述べた。トランプ前大統領にとっては、皮肉なバレンタインのプレゼントと言えるかもしれない。
米テレビ局「CNN」の報道によると、プーチン大統領は国内メディアのインタビュー内で、トランプ前大統領とバイデン現大統領のどちらが次期大統領にふさわしいか尋ねられたとのことだ。
プーチン大統領は「経験豊富」で「行動が予測しやすい」という理由から、バイデン氏が望ましいと語った。さらに81歳となるバイデン氏の健康状態について、不安は全く感じていないとも述べている。
大統領時代のトランプ氏はプーチン大統領との親密な関係で知られていたことから、トランプ氏がかなり気分を害したのではないかと思う方もいるかもしれない。
トランプ氏は選挙演説中、プーチン大統領との良好な関係について頻繁に言及し、同氏を賢い指導者だと褒め称えたこともあった。もし自分が再選されていればウクライナ侵攻は起こらなかったと、共和党の集会で何度も主張している。
プーチン大統領によるバイデン大統領を支持する発言は、トランプ氏にとってかえって好都合だったと言えるだろう。現在のアメリカでは、プーチン大統領が支持する人物に進んで投票したいと思う人は決して多くはないはずだ。
トランプ前大統領は2月15日、サウスカロライナ州ノースチャールストンでの集会でプーチン大統領の発言についてコメント。「ロシアのプーチン大統領が、私に素晴らしい賛辞をくれたところだ」と、プーチン大統領の発言に基本的には満足していると述べた。
トランプ前大統領はさらに、「プーチン氏は私よりもジョー・バイデン氏を大統領として歓迎すると発言している。これは褒め言葉だ。もちろんプーチン氏はそう言うだろうと思っていたよ」と続けた。
ノースチャールストンの集会でトランプ氏は、プーチン大統領が自分よりバイデン氏を大統領として望むのは当然だと付け加えた。その根拠として、物議を醸しているドイツ・ロシア間のパイプライン「ノルド・ストリーム2」を例に挙げ、自身の大統領在任中にはロシアの目論みを阻止してきたと述べた。
トランプ氏は「私はノルドストリーム2を停止したが、バイデン氏は私の退任直後に承認した。だからこそ、プーチン大統領は正直なところ私のことが気に食わないのだろう」と述べた。だが、トランプ氏がプーチン大統領との良好な関係について度々強調してきたことを考えれば、真に受けるべきかは疑問である。
ロシアに対するヨーロッパのエネルギー依存度が高まることから、大きな問題となっていたノルドストリーム。トランプ氏が、そのパイプラインに制裁を課したことは事実である。
その後トランプ前大統領は、バイデン氏が米大統領に再選した場合、プーチン氏のウクライナ征服の野望が実現してしまうだろうが、もし自分が再び大統領に返り咲けば阻止することができると述べた。
トランプ前大統領は「プーチン大統領は私が大統領になることを望んでいない。バイデン氏を次期大統領として望んでいるのは、ウクライナを含めすべての狙いを叶えられるからだ。バイデン氏のおかげでウクライナを手に入れるという夢が叶うだろう」と述べた。しかし、バイデン大統領が一貫してウクライナ支援を強力に打ち出してきたことを考えると、トランプ氏の発言を真に受けることはできない。
トランプ氏は、かねてよりプーチン氏とは非常に良好な関係にあると主張し、ロシアによるNATO加盟国への攻撃を促すような在任中の発言が再び話題になっていた。それにもかかわらず、自身は「過去5人の大統領の中でロシアに何も与えなかった唯一の大統領はこの私、ドナルド・トランプだ」と主張している。
こうしたプーチン大統領の発言が、バイデン大統領の再選の可能性に悪影響を及ぼしたことは間違いない。プーチン大統領は、NATOに関連する発言へ感謝の意を込めて、トランプ前大統領に助け舟を送ったのかもしれない。
バイデン大統領の選挙陣営も同様のことを考えているようだ。 米『USAトゥデイ』紙によると、トランプ大統領の「NATO加盟国攻撃をロシアに促す」発言に関して、バイデン陣営の代表者らは「トランプ氏はプーチン大統領に向けて、とっておきのバレンタインギフトを送りました。トランプ氏が再び大統領に当選した際は、ヨーロッパの同盟国をなぎ倒すゴーサインを与えるという約束のことです」と皮肉たっぷりにコメントしている。
写真:Instagram@bidenharrishq