「人的ミス」で巨額損失を招いてしまった大手企業
人間たるもの、生きていればだれにだってミスはある。古代から伝わる伝わるラテン語の諺に「間違えるのは人間だからだ」という言葉があるように......
しかし、思わぬ「人的ミス」は時には大きな損失をもたらす可能性がある。インターネットとEコマースの普及により、ネット上での技術的な問題は日常茶飯事となった。その中で、人為的なミスが原因となっているものも少なくはない。
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そうした思いがけないヒューマンエラーが世界的大企業に多大な損失をもたらした事例はいくつもある。今回はそうした悔やんでも悔やみきれない事件を追ってゆこう。
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直近では、世界最大級のノルウェー政府系ファンドが、Excel使用時の人為的ミスで、8,600万ユーロ(約140億円)もの損失を計上している。
職員がExcelに間違った日付を入力したことでエラーが発生し、会社は数か月経ってから、そのミスに気づいたそうだ。
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2018年には韓国のサムスン証券が、配当金として従業員に1株当たり1,000ウォン(109円)を支払おうとしていた。
誤って従業員に対し、1株1,000ウォンと設定する代わりに新たな「1,000株」を支給してしまったのだ。スペインの新聞『ラ・バングアルディア』によると、この誤操作により、わずか数分間で同社の株価は12%下落したとのことだ。
一例として、イタリアの航空会社アリタリア航空のケースを見てみよう。2006年、同社はカナダ発キプロス行きの航空券を3,900米ドルではなく39カナダドル(約29米ドル)で提供するというミスを犯したのだ。
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誤った金額のままチケット販売サイトに掲載され、同社は数時間のうちに約2,000枚の航空券を販売。キャンセルを試みたが、失敗に終わった。英『BBC』によると、この人為的なミスにより、アリタリア航空は740万ドル(約10億9,000万円)もの損害を被っている。
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2022年、アメリカの銀行シティグループは、金融市場用語で「ファットフィンガー」と呼ばれる誤入力を起こし、市場は大混乱となった。
ロンドンのトレーダーが、誤入力でゼロを1つ多く入力してしまったのだ。このミスにより多くの売り注文が発生し、スウェーデンの株式市場は突然8%下落することとなった。
混乱は欧州の他の株価指数にも広がり、シティグループは最大3,000億ユーロ(約50兆9,000億円)の損失を負うこととなった。
あのNASAも1999年にヒューマンエラーを起こしている。英『BBC』によると、ロッキード・マーティン社のエンジニアは、火星探査機「マーズ・クライメート・オービター」の打ち上げを計算する際に、メートル法ではなく、ヤード・ポンド法を使用したという。
専門家によると、このミスにより探査機は予定されていた火星の上空150キロの軌道を通過できず、搭載機材が故障したと同放送局は報じている。その推定損失額は、1億2,500万ドル(約182億7,500万円)にも上った。
しかし、すべてのミスが悲劇的な結末を迎えるわけではないようだ。時には、企業に多大な損害を与える一方で、従業員に利益をもたらすようなヒューマンエラーも発生している。
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チリ食品産業連合は、従業員に通常の給与である約560ドルの330倍の給与を誤送金してしまった。スペイン紙『エル・エコノミスタ』の報道によると、ある従業員は18万ドル(約2,600万円)以上を受け取ったという。
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その従業員は差額を返済すると約束したが、支払いは行われないまま退職。その結果、会社と従業員間での訴訟にまで発展している。
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同じようなことがハンガリーでも起こっている。会社は従業員に92,549フォリント(約3万8,000円)を支払う代わりに、その金額をユーロ(約1,500万円)で送金してしまったのだ。
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会社側もミスに気づき、返金を要求。元従業員は支払いを拒否し、一部のみしか回収できなかったようだ。
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デジタル化は大きな進歩と同時に、多くの危険ももたらした。専門家によると、中小企業を狙ったサイバー攻撃のほとんどの原因は人為的ミスとのことだ。
スペイン経済紙『Cinco Días』によると、保険代理店「Exsel」の報告書では、2021年に中小企業の30万社がサイバー攻撃を受けたと推定されており、そのほとんどは人為的ミスによるものだという。
従業員に対するIT教育やサイバー攻撃の脅威に対する対策が不足していた場合、最終的に企業は数百万ドルにも上る損失を被る可能性があるのだ。
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