パリのノートルダム大聖堂:美しく生まれ変わった大聖堂内部が公開される
こちらは、ノートルダム大聖堂の聖歌隊席を比較した2枚の写真である。上の写真は火災の数か月前である2018年6月26日に撮影され、下の写真は2024年11月29日に撮影されたものである。修復によって、石本来の明るさが取り戻されているのが分かる。
火災から1か月後に撮られた2019年5月15日の画像からは、祭壇の惨状が分かるだろう。下の画像は2024年11月29日に撮影されたもので、フランス人デザイナーのギヨーム・バルデによる新しい祭壇がお披露目された。
大聖堂のかつての輝きを取り戻そうと、250の企業と数百人もの職人が、5年以上の歳月をかけて再建作業に携わった。
大聖堂のオルガンも火災で被害を受けたが、現在は修復され、西側のバラ窓の前に安置されている。
修復作業を経てますます輝きを増した南のバラ窓。「正午のバラ」とも呼ばれるこのバラ窓は、北のバラ窓を模倣して1260年にルイ9世によって建設されており、その直径は13メートル近い。
仏誌『キャピタル』によると、大聖堂の修復費用は全て寄付金で賄われたという。 34万人の寄付者の中には、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンのトップであるアルノー家やロレアルを所有するベタンクール・メイエール家など、フランスの大富豪も含まれている。
一般公開に向けて、全ての装飾品は大聖堂内の元の位置に再び飾られた。
忘れもしない2019年4月15日、炎に包まれたノートルダム大聖堂の映像が目に焼き付いている人も少なくはないだろう。
ノートルダム大聖堂の再開を祝して、8日間に渡る記念式典が開催中である。そのイベントの内容を詳しく見ていこう。
仏現地時間12月7日の夕方頃から、記念式典はスタート。各国の首脳や宗教関係者が出席する中、仏マクロン大統領が公式演説を行った。
式典には大統領選後、初めての外国訪問となるトランプ次期米大統領をはじめ、ウクライナのゼレンスキー大統領やウィリアム英皇太子、ジル・バイデン米大統領夫人など、各国の政財界の要人も数多く出席した。
日程の問題から記念式典には不参加だったローマ教皇。しかしながら仏ラジオ局「フランス・ブルー」は、憲法に中絶権が明記されたことや終末期に関する法案など、フランスとの軋轢から招待を辞退したのではないかと報じている。なおローマ教皇は、式典の1週間後にあたる12月15日には地中海のコルシカ島を訪れる予定だ。
12月7日の記念式典は、広場やノートルダム大聖堂の周囲に設置された巨大スクリーンで一般公開され、テレビでも生中継が行われた。
式典の後は、パリのローラン・ウルリッヒ大司教によって礼拝が執り行われた。大司教がノートルダム大聖堂の扉をノックしながら、『旧約聖書』の一部を唱え、それに応答するように扉が開くという流れで礼拝は進行した。
仏紙『ラ・クロワ』によると、修復を果たした大オルガンのお披露目や聖歌の合唱、そして最後に大司教が祝福を与えるという3つの内容で礼拝は構成されていた。
21時からは、ノートルダム大聖堂前の広場で国内外のアーティストを集めたコンサートが行われた。フィナーレを飾るのは、プロジェクションマッピングによる音と光のショーである。
再開後初めてのミサは12月8日10時から開催され、マクロン大統領や各国の司教が170人近く出席。新しい祭壇が奉献され、聖遺物が設置された。パリのローラン・ウルリッヒ大司教による、聖書朗読と説教も厳かに執り行われた。
その後18時半から開催されるミサは、誰でも参加可能である。さらに、17時半から22時までノートルダム大聖堂の一般公開が再開された。
その後、12月9日から12月15日まで、毎日複数回ミサが行われるとのこと。
12月17日と18日には、5人の著名なソリストを招き、ノートルダム大聖堂聖歌隊によるコンサートが2回開催予定である。
2025年に入ってからは、毎週火曜日に大聖堂でのコンサートが予定されている。
写真:Florian Cordier / Unsplash
記念式典中の8日間は15時半から22時まで、ノートルダム大聖堂に無料で入場が可能である。ただし混雑緩和のため、オンラインでの事前予約が必要となっている。
12月19日からは、通常通りの一般公開になるノートルダム大聖堂。毎日7時45分から19時まで開放され、毎日3回から4回のミサが行われるそうだ。