ドナルド・トランプ支持者、耳にガーゼで「連帯」示す
大統領選で返り咲きを目指すドナルド・トランプ氏とその陣営は、何はともあれ、わかりやすく力強いメッセージを発することを得意としている。支持者たちとの一体感も抜群で、メッセージはすみやかに共有される。
その端的な例は、「Make America Great Again」(米国を再び偉大な国に)というスローガンだろう。トランプ氏がやってくる会場は、そのスローガン入りのキャップをかぶった支持者たちで立錐の余地もないほどだ。
そのような選挙活動のさなか、トランプ氏はペンシルバニア州バトラーの集会で銃撃を受けた。7月13日のことである。弾丸により右耳に怪我を負ったが、その二日後に始まった共和党全国大会にトランプ氏は予定通り姿を見せた。右耳にはガーゼらしき大きな当て布がしてあった。
共和党全国大会はウィスコンシン州ミルウォーキーで15日から18日にかけて開催され、トランプ氏が党の大統領候補者に指名された。トランプ氏の耳を覆っているガーゼを目にした支持者たちは、自分の耳にも白い布切れのようなものをつけはじめた。CNNなどによると、それが一種のブームになっているようだ。
白いガーゼのような何かを右耳に貼り付けることは、ミルウォーキーの共和党全国大会を訪れるトランプ支持者にとって、自分たちのリーダーへの連帯を示す行為である。それは共感のしるしであり、愛国心のあらわれでもある。
もちろん、右耳に装着する白いガーゼは、トランプ支持者たちのトータル・コーディネートのほんのアクセントでしかない。その基礎をなすのは前述のキャップであり、あるいはカウボーイハットであり、ピンバッジであり、ワッペンである。トランプ氏を応援する小旗も忘れてはならない。
それにしても、トランプ氏に対する熱狂の度合いは銃撃事件があったことで大きく高まったようである。全国大会に駆けつけた支持者のなかには、もともと大会に出かけるつもりはなかったけれど、銃撃事件があったことで考えが変わったのだと語る人々もいる。
銃撃に遭ったトランプ氏が一命をとりとめたことに、天の配剤のようなものを見出す人々は少なくない。実際にトランプ氏本人も、自分が助かったのは「全能の神の恩寵のおかげ」とミルウォーキーで演説している。
トランプ前大統領銃撃事件に対する反響は大きく、トランプ陣営関連グッズの販売にもたちまち火がついた。銃撃時、耳から血を流しながら雄々しく拳をつきあげるトランプ氏の姿が撮影されているが、その写真を大きくプリントしたTシャツもすぐさま販売されている。
ところで、右耳にガーゼを当てることが即トランプ氏への連帯を示す行為として定着してしまったら、少々困ったことになりかねない。耳を怪我することがすなわち、政治的態度を表明することになりかねないからだ。
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