トランプ政権の「ウクライナ侵攻終結に向けた100日プラン」が暴露される:ロシアによるフェイクニュースという指摘も
ロシアがウクライナへの全面的軍事侵攻を開始したのは2022年2月のこと。以来、両国のあいだに平和は望むべくもないと思われてきたが、2025年になってついにその可能性が生じつつあるかもしれない。
ウクライナメディア「Strana」が、トランプ大統領が極秘に作成した「ウクライナ侵攻終結に向けた100日プラン」とされるものを暴露したのだ。ロシアの独立系メディア「Meduza」が報じている。
暴露された文書では、トランプ大統領は1月下旬から2月にかけてプーチン大統領と電話会談を実施、交渉開始の糸口とするとされているという。『ニューズウィーク』誌が報じている。
交渉の次のステップは、トランプ大統領がプーチン大統領やゼレンスキー大統領とそれぞれ会談を行い、そこで停戦の道筋について議論するという。
文書では、ロシアのクルスク州に侵入しているウクライナ兵については撤退すること、という条件が提示されている。
また、停戦の時期については4月20日ごろを目処とするとされている。これはロシア正教会で重要な祝日と見なされている復活大祭(いわゆるイースター)に合わせた形だ。
プラン通りに事が運べばその後、大国の仲介で宇露間の終戦合意をはかる国際平和会議が開かれることになる。「Meduza」によると、トルコのエルドアン大統領の参画が期待されているという。
文書内では5月9日を終戦の目安としている。第二次世界大戦でソ連がナチスドイツに勝った戦勝記念日とされ、今に至るまでロシアで盛大に祝われている祝日だ。
戦勝記念日はかつてはウクライナでも重要な祝日だった。だが、ロシアによるクリミア占領(2014年)やそれに続くドンバス侵攻などを受けてロシアの軍国主義への批判が高まり、かつてほどの人気はなくなっている。
『ニューズウィーク』誌は文書内で両国に定められている条件についても報じている。それによると、ウクライナのNATO加盟は禁じられ、中立国となることが求められるという。
さらに、現時点でロシアが占領している地域について、ウクライナ政府はロシア側の主権を認め、当該地域を奪還するためのいかなる外交的・軍事的手段も取らないこととされている。
その代わり、ウクライナは2030年までにEUに参加することができるとされ、戦後復興のためにEUからの支援も受けられるという。
一方ロシアは、制裁が解除されることになる。その条件と期間については戦争終結に対してロシア政府が提示した合意内容による。
より重要なのは、『ニューズウィーク』誌も強調するように、ロシア産天然ガスなどのエネルギー産品に対する制裁の解除だ。だが、これには、ウクライナ復興のための特別税が課されるという。
ここまで紹介してきたが、「Strana」が暴露したこの文書の正当性には疑義も持たれている。「Meduza」によるとウクライナ大統領府はこの文書を否定、ロシアを利するためにばらまかれたフェイクニュースだと述べたという。
また、『ニューズウィーク』誌はウクライナのファクトチェック機関「Spravdi」の見解も紹介している。それによると、「Strana」は2021年に「ロシアのプロパガンダを発信」していると認定されていたという。
ウクライナの偽情報対策センター長アンドリー・コワレンコ氏はテレグラム上でこうコメントしている:「侵攻終結に関する議論は盛り上がっていますので、外国メディアの関心の高さも理解はできます。ですが、ウクライナのニュースメディアはこういった問題について、より慎重なアプローチを取る必要があります」