トランプ政権の「ウクライナ侵攻終結に向けた100日プラン」が暴露される:ロシアによるフェイクニュースという指摘も

和平が現実的に?
トランプ大統領の100日プラン
まずは電話会談
会談を通じて筋道を議論
ウクライナ兵はクルスク州から撤退
復活大祭に合わせて停戦
仲介者候補はトルコのエルドアン大統領
戦勝記念日を目処に終戦
ウクライナにおける戦勝記念日
ウクライナのNATO加盟は阻止
ロシアは占領地域を保持
ウクライナはEU加盟や支援受取を認められる
ロシアへの制裁は条件付きで解除
ロシア産のエネルギー資源にウクライナ復興税を課す
フェイクニュースとの指摘も
ロシア政府による情報戦か
「慎重なアプローチを」
和平が現実的に?

ロシアがウクライナへの全面的軍事侵攻を開始したのは2022年2月のこと。以来、両国のあいだに平和は望むべくもないと思われてきたが、2025年になってついにその可能性が生じつつあるかもしれない。

トランプ大統領の100日プラン

ウクライナメディア「Strana」が、トランプ大統領が極秘に作成した「ウクライナ侵攻終結に向けた100日プラン」とされるものを暴露したのだ。ロシアの独立系メディア「Meduza」が報じている。

まずは電話会談

暴露された文書では、トランプ大統領は1月下旬から2月にかけてプーチン大統領と電話会談を実施、交渉開始の糸口とするとされているという。『ニューズウィーク』誌が報じている。

会談を通じて筋道を議論

交渉の次のステップは、トランプ大統領がプーチン大統領やゼレンスキー大統領とそれぞれ会談を行い、そこで停戦の道筋について議論するという。

ウクライナ兵はクルスク州から撤退

文書では、ロシアのクルスク州に侵入しているウクライナ兵については撤退すること、という条件が提示されている。

復活大祭に合わせて停戦

また、停戦の時期については4月20日ごろを目処とするとされている。これはロシア正教会で重要な祝日と見なされている復活大祭(いわゆるイースター)に合わせた形だ。

仲介者候補はトルコのエルドアン大統領

プラン通りに事が運べばその後、大国の仲介で宇露間の終戦合意をはかる国際平和会議が開かれることになる。「Meduza」によると、トルコのエルドアン大統領の参画が期待されているという。

戦勝記念日を目処に終戦

文書内では5月9日を終戦の目安としている。第二次世界大戦でソ連がナチスドイツに勝った戦勝記念日とされ、今に至るまでロシアで盛大に祝われている祝日だ。

ウクライナにおける戦勝記念日

戦勝記念日はかつてはウクライナでも重要な祝日だった。だが、ロシアによるクリミア占領(2014年)やそれに続くドンバス侵攻などを受けてロシアの軍国主義への批判が高まり、かつてほどの人気はなくなっている。

ウクライナのNATO加盟は阻止

『ニューズウィーク』誌は文書内で両国に定められている条件についても報じている。それによると、ウクライナのNATO加盟は禁じられ、中立国となることが求められるという。

ロシアは占領地域を保持

さらに、現時点でロシアが占領している地域について、ウクライナ政府はロシア側の主権を認め、当該地域を奪還するためのいかなる外交的・軍事的手段も取らないこととされている。

ウクライナはEU加盟や支援受取を認められる

その代わり、ウクライナは2030年までにEUに参加することができるとされ、戦後復興のためにEUからの支援も受けられるという。

ロシアへの制裁は条件付きで解除

一方ロシアは、制裁が解除されることになる。その条件と期間については戦争終結に対してロシア政府が提示した合意内容による。

ロシア産のエネルギー資源にウクライナ復興税を課す

より重要なのは、『ニューズウィーク』誌も強調するように、ロシア産天然ガスなどのエネルギー産品に対する制裁の解除だ。だが、これには、ウクライナ復興のための特別税が課されるという。

フェイクニュースとの指摘も

ここまで紹介してきたが、「Strana」が暴露したこの文書の正当性には疑義も持たれている。「Meduza」によるとウクライナ大統領府はこの文書を否定、ロシアを利するためにばらまかれたフェイクニュースだと述べたという。

ロシア政府による情報戦か

また、『ニューズウィーク』誌はウクライナのファクトチェック機関「Spravdi」の見解も紹介している。それによると、「Strana」は2021年に「ロシアのプロパガンダを発信」していると認定されていたという。

「慎重なアプローチを」

ウクライナの偽情報対策センター長アンドリー・コワレンコ氏はテレグラム上でこうコメントしている:「侵攻終結に関する議論は盛り上がっていますので、外国メディアの関心の高さも理解はできます。ですが、ウクライナのニュースメディアはこういった問題について、より慎重なアプローチを取る必要があります」

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