トランプ元大統領、もしも再選したらイーロン・マスク氏をアドバイザーに迎える?
アドバイザーの人選にもしばしば疑問符が付けられているトランプ元大統領。再選してもその傾向は変わらないかもしれない。というのも、トランプ元大統領がイーロン・マスク氏をアドバイザーにしようとしているという話があるのだ。
11月の米大統領選でトランプ元大統領が再選を果たした場合、航空宇宙企業「スペースX」CEOも務めるイーロン・マスク氏をアドバイザーとして迎える計画があり、両者がそれについて話し合ったという。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が伝えた。
同紙によると、マスク氏が具体的にどのような役割を担うことになるのかは分かっていない。だが、今回の計画に詳しい関係者によると、ある程度の影響力を行使し得る立場となるはずだという。
トランプ元大統領はマスク氏と協議し、マスク氏が国境問題や経済問題について公式に助言を与えるような方法について話し合ったという。両者の関係は一時期悪化していたが、同紙の報道が正しいならば改善に向かったということになる。
トランプ元大統領とマスク氏の関係は以前から多くの人の関心を呼んでいた。トランプ元大統領が政界に進出した当初、マスク氏は支持していなかったし、元大統領側もマスク氏を公然と批判したことがある。
2016年の大統領選挙直前に、マスク氏はCNBCのインタビューでトランプ氏が大統領として適切とは思わないと明言、ヒラリー・クリントン候補者の方がふさわしいと思うと語っている。
『ビジネス・インサイダー』が当時のマスク氏の発言を引用している:「トランプ氏はふさわしい人物ではないという思いを日々強めています。アメリカという国を正しく代表するような人柄ではないように見えます」
このような発言があったにもかかわらず、トランプ元大統領は財界のリーダーを集めた諮問委員会にマスク氏を迎え入れた。委員会への参加を批判されたマスク氏は自身のツイッター(当時)アカウントで釈明を余儀なくされている。
釈明文の中でマスク氏はこう語っている:「諮問委員会は助言を提供するだけの組織であって、参加しただけで政権の行いを追認しているということにはならない」
画像:X @elonmusk
だが、マスク氏は結局2017年には環境問題に関する見解の相違を理由としてトランプ政権と袂を分かった。トランプ元大統領がパリ協定からの離脱を表明したことが決定打となったようだ。
『ビジネス・インサイダー』によると、諮問委員会からの離脱を表明した際、マスク氏はこう述べていたという:「気候変動は現実の問題だ。パリ協定からの離脱はアメリカのみならず、世界にとっても良くない」だが、それ以降もトランプ元大統領とマスク氏との間には数多くの出来事があった。
画像:X @elonmusk
2020年1月にトランプ大統領(当時)はマスク氏のことをアメリカ最大の天才と呼んでいる。また、コロナ禍中にはカリフォルニア州による感染対策規制に悩まされたマスク氏の支援に回っている。2022年にはマスク氏がトランプ元大統領のツイッターアカウントを復活させている。だが、二人の関係は決して改善した訳ではなかった。
2022年7月にはトランプ元大統領がマスク氏を「でたらめの天才」と呼ぶ一幕があった。マスク氏が前回の大統領選では誰にも投票しなかったと発言したことを受けてのもので、トランプ元大統領によるとマスク氏はかつて元大統領に投票したと述べたことがあったというのだ。
これに対して、マスク氏はトランプ元大統領の再出馬を批判する形で遠回しに反論している:「トランプ元大統領のことは嫌いではないが、いい加減潮時を悟って引退するべきだ」
マスク氏による批判はさらに続いており、それに対してトランプ元大統領側は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」上で反論、マスク氏は自身のプロジェクトのために政府に援助を求めてきたと指摘している。また、マスク氏が440億ドルを費やしてツイッター社を買収したことを揶揄するような投稿もあった。
画像:Truth Social @realDonaldTump
トランプ元大統領はこう書いている:「イーロンはツイッター関連のごたごたをなんとかすることに集中するべきだ。ろくに価値もないものに440億ドルも払ったのだから。電気自動車だって、競合他社は多い!」
こういった経過にもかかわらず、両者は再び接近しつつあるようだ。ネットメディア「Axios」によると、2024年3月には投資家のネルソン・ペルツの家で二人が面会を果たしたという。
その面会以来、両者の関係は深くなってきているようだ。いまではマスク氏が月に何度かトランプ元大統領と電話会談を行っているという報道も複数出ている。今度こそ、この関係が長続きするのだろうか?