ゼレンスキー大統領、ロシアが犯した戦争犯罪の件数を明かし、国際社会に正義のための団結を訴える

驚くべき数の戦争犯罪が行われる
その数なんと13万7,000件
「正義は人類をひとつにする」
最後まで協力する理由が13万7,000件
戦争犯罪の定義は?
「人間の命と国際法を重んじる国であれば」
個々の法や条約とは関係がない
開戦当初から非難されてきた
大規模な戦争犯罪
エネルギーインフラへの攻撃
多くの建造物を破壊
民間人の死傷者
2024年7月が最悪の月だった
少なくとも3万5,160人の民間人が被害に遭う
ロシアによる拷問の証拠も
民間人への人権侵害事例
捕虜も虐待
調査の結果は
強制移住
驚くべき数の戦争犯罪が行われる

2022年2月以来、プーチン大統領率いるロシアはウクライナへの全面侵攻を続けている。今回ゼレンスキー大統領がそのロシアの犯した戦争犯罪の数を公表したのだが、それは実に驚くべき数字だった。

その数なんと13万7,000件

ゼレンスキー大統領によると、ロシア軍がこれまでウクライナで犯した戦争犯罪は13万7,000件にのぼるという。このことは国際会議「正義のための団結:市民への攻撃に責任を」でのスピーチ中に明かされ、ゼレンスキー大統領は国際社会に対して正義を求めた。

「正義は人類をひとつにする」

ゼレンスキー大統領はこう述べている:「正義は人類をひとつにします。正義を求めることは人間としての文化の核だからです。まさにいまも、正義を求める心が我々をあなたたちとひとつにしています。ロシア連邦から我が国を、命を守ろうという思いで、多くの人が共に働いています」

最後まで協力する理由が13万7,000件

ゼレンスキー大統領はさらにこう続けた:「最後まで共に手を取り続けるべき理由が、いままでのところ少なくとも13万7,000件あります。これは今日までの間にロシアが犯した戦争犯罪の数です。知られているだけでもこの数なのです」『ウクライナ・プラウダ』紙が伝えている。

戦争犯罪の定義は?

同じくこの発言を伝えている『キーウ・インディペンデント』紙では、戦争犯罪には民間人や文化施設、医療施設への故意の攻撃を含むとしている。それ以外にも、拷問や強制移住なども含まれる。

「人間の命と国際法を重んじる国であれば」

ゼレンスキー大統領はスピーチでこう続けた:「どの国も正義の価値を理解しています。人間の命と国際法を重んじる国であれば、正義にもとることなど許されません」

個々の法や条約とは関係がない

「どの国でも、という点を強調しましょう。それはつまり、その国の国内法がどうなっているかとか、どのような国際条約を批准しているかとか、(国際刑事裁判所に関する)ローマ規程が実効化されているかとか、そういったこととは関係がない、ということです」

開戦当初から非難されてきた

全面侵攻開始当初から、ロシアは数多くの戦争犯罪を犯したとして非難されてきた。民間人や民間インフラへの攻撃に始まり、強制移住や、民間人や捕虜に対する拷問などその罪は枚挙にいとまがない。

大規模な戦争犯罪

2024年6月、ワシントンに拠点を置くシンクタンク「ウィルソン・センター」のカテリーナ・オダルチェンコはウクライナでの戦争犯罪が非常に大規模なものになっていると指摘、これまで記録された戦争犯罪の件数が非常に多いことも示している。

エネルギーインフラへの攻撃

たとえば、その時点まででウクライナのエネルギーインフラに対する攻撃で800の暖房設備が破壊されている。この数には5基の大規模な火力発電所や3基の水力発電所も含まれる。

多くの建造物を破壊

また、侵攻開始以来およそ21万の建造物が破壊されており、オダルチェンコいわく、その中には106の病院、109の宗教施設(教会や寺院、モスクなど)、708の学校が含まれているという。

民間人の死傷者

そして、2024年2月時点での国連の推計によると、戦争の結果3万457人の民間人が死傷しており、死者だけでも1万582人にのぼっている。しかもそのうち587人は子供だ。当然、この数字は2月以降も増え続けている。

2024年7月が最悪の月だった

国連の推計によると、2024年8月は侵攻勃発以来、民間人の死傷者が2番目に多い月となった。死傷者数が最大だったのは2024年7月だ。『キーウ・インディペンデント』紙が9月9日に報じている。

少なくとも3万5,160人の民間人が被害に遭う

また、2024年7月には国際連合人権高等弁務官事務所が、ウクライナでそれまでに3万5,160人の民間人が被害に遭ったと認定している。ただし、統計サイト「Statista」によると、この数字は少なめに見積もられている可能性がある。

ロシアによる拷問の証拠も

また、民間人も軍人も拷問や虐待の被害に遭っている。世界反拷問連合(World Organisation Against Tortur)が2024年7月に出したレポートでは、2022年2月や10月に限っても、民間人に対する広範な拷問の証拠が見つかったとされている。

民間人への人権侵害事例

目撃者や被害者への聞き取り調査の結果、63件の民間人に対する人権侵害が確認されており、その内訳は38件の拷問、25件の非人道的な取り扱いとなっている。調査に関するプレスリリースによると起こった場所も様々で、キーウやチェルニヒウ、ザポリージャ、ドネツク、ハルキウ、ヘルソンなどとされている。

捕虜も虐待

国連ウクライナ人権監視ミッション(HRMMU)によるとロシアはウクライナの軍人も虐待しているとされる。2024年3月に出されたレポートでは60人のウクライナ兵元捕虜に聞き取り調査を行っており、そこでは捕虜が虐待されているという信頼するに足る証言があったと述べられている。

画像:Telegram @DPSUkr

調査の結果は

HRMMUのリーダー、ダニエル・ベルはこう述べている:「聞き取り調査を行った元捕虜たちはほとんど全員が、ロシアの看守や役人たちが捕虜を虐待していると述べている。その具体的な内容は執拗な殴打、電気ショック、処刑をほのめかしての脅迫、不自然な姿勢の強要、模擬処刑などだ」

強制移住

ウクライナから強制移住させられた人の数も大変なものだ。「Global News」は2024年2月、それまでに3万8,000人の子供を含む250万人のウクライナ人が強制移住させられたと報じている。ただし、その時点では強制移住させられた子供のうち2万人しか身元が判明していなかった。

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