ゼレンスキー大統領、「もしトラ」でもアメリカとの関係に不安はないと語る
7月15日にキーウで開かれた記者会見で、ウクライナのゼレンスキー大統領がいくつかの重要な質問に答えた。その質問の中には、ゼレンスキー大統領に対して「もしトラ」への心構えを聞くものもあった。
トランプ元大統領はロシアと交戦状態にあるウクライナへの支援を継続するかどうかについて慎重な立場を崩していない。だが、ゼレンスキー大統領はそんなトランプ元大統領がふたたびアメリカ大統領となる可能性について、仮にそうなったとしても不安には思っていないと語った。
ゼレンスキー大統領は、仮にトランプ元大統領が再選した場合でも、新たなアメリカ大統領と良好な関係を築くことができるだろうという認識を語った:「仮にトランプ氏が大統領になったとしても、協力して事に当たるだけです。そこに不安はありません」『キーウ・ポスト』紙が伝えている。
ゼレンスキー大統領はさらにこう続けた:「アメリカの我々に対する支援は超党派のものですし、共和党の側とも強力な関係を築いています」だがこの発言の直後、トランプ元大統領は副大統領候補としてヴァンス氏を指名。ゼレンスキー大統領の見解がこの人事を受けても保たれているのかは不透明だ。
トランプ元大統領が、オハイオ州選出のヴァンス上院議員を副大統領候補に指名したのは奇しくもゼレンスキー大統領の上述の発言と同じ日だった。
トランプ元大統領はトゥルース・ソーシャルにこう投稿している:「熟慮の末、数多くの才能ある人材の中でも、副大統領の地位に最もふさわしいのはヴァンス上院議員だと確信した」
副大統領候補にヴァンス上院議員を選んだのは様々な意味で驚きの人事だった。だが、とりわけウクライナの立場から言えば、最悪の決定だったともいえる。ヴァンス上院議員はウクライナへの支援の中止を最も強硬に主張している立場をとっているからだ。
政治ニュースサイト『ポリティコ』のスザンヌ・リンチはヴァンス上院議員についてこう書いている:「ヴァンス上院議員はウクライナ支援に資金を拠出することについて非常に激しく反対している。軍事資金という点において、ヨーロッパの同盟国はアメリカに依存しすぎているという見解を示したこともある」
仮にこの人事のままトランプ元大統領が再選したとして、ヴァンス上院議員をトランプ元大統領がどれほど重んじるか、そしてとりわけウクライナ情勢についてヴァンス上院議員の意見をどれほど重視するかはいまだ未知数だ。だが、この人事がウクライナにとって望ましいものでないことも確かだ。
副大統領候補がヴァンス上院議員となったことについてゼレンスキー大統領からのコメントはいまだ出ていない。だが、先述のコメントを出した時点で、こうなる恐れについてはとうぜん認識していたことだろう。従って、多くのメディアが示唆するほどには動揺していない可能性もある。
ウクライナ側の反応を予測することは難しいが、ゼレンスキー大統領もまた抜け目ない政治家である以上、副大統領が誰であれ、アメリカ大統領となった人物と良好な関係を築くことは可能だという立場を崩すことはないだろう。