スペイン、バレンシアで集合住宅で火災で死者10人、今年の火祭りは中止に
スペイン東部のバレンシアで現地時間22日午後5時半ごろ、14階建ての集合住宅で火災が発生した。火の手はあっという間に燃え移り、隣の集合住宅に延焼して2棟が全焼。死者数は10人、負傷者は15人に上った。
バレンシアでは毎年3月にユネスコ無形文化遺産に登録されている火祭り「ファリャ」が開催されているが、同市市長マリア・ホセ・カタラは今年はすべてのプログラムを中止することを発表した。
火災が起きた建物はバレンシア市の中心部、カンパナール地区の大通りに面してそびえる14階建ての集合住宅で、火元はその7階とみられている。
消防によれば、折からの強風に加えて建物に使われていたポリウレタンが原因となり、短時間で火の手が広がってしまったという。スぺイン国営放送RTVEが伝えている。
スペインのラジオ局「カデナ・セール」によれば、138戸からなる14階建ての建物は火災発生から数分のうちに全体が炎に包まれたという。
火災が起こった時間帯には、多くの住人が建物の中にいたとみられる。
火災が発生したのは現地時間で22日午後5時すぎ。当時、最大風速時速60キロメートルにおよぶ強風が吹いていたことからあっという間に炎が広がり、集合住宅全体から黒煙が噴出した。
多くの消防隊員が派遣されて消火にあたったものの、当局の発表によれば10人が死亡したという。
現場では消防と警察による行方不明者の捜索が行われているほか、スペイン軍の災害派遣部隊(Unidad Militar de Emergencias)が救急診療室を設営したとスペイン国営放送RTVEが伝えている。
延焼の拡大を食い止めるべく、消防は夜を徹して放水活動を続けた。23日午後1時過ぎ、建物はまだ高温状態にあったがようやく建物内に入り捜索活動が開始された。オンライン版『エラルド』紙が伝えている。
国内メディアによればこの火事による死者数は10人、病院で治療を受けた負傷者数は15人(うち7人は消防士)となっている。
近隣のホテルは被災者のために客室の一部を提供、建物から非難した人々の多くはそこで一晩を過ごした。
一方、市民ボランティアは被災者のために支援センターを開設。毛布や衣類、食料を被災者に配布するとともに、火災に遭った建物の住民リストを作成し、サポートにあたっている。
バレンシアのマリア・ホセ・カタラ市長は3日間の喪に服すことを宣言するとともに、2月最後の週末に予定されていた、火祭りの開始を告げる式典「ラ・クリダ(LA CRIDA)」の中止を発表した。