旧正月を前にコロナウイルス累積感染者が人口の6割以上に達した中国
今年は1月22日が春節にあたる中国だが、研究者の報告により、国内の新型コロナウイルスの累計の感染者数が9億人に達したことが明らかになった。
このデータは、北京大学の馬京晶副教授とその研究チームが民間部門のデータをもとに感染者の推定値をまとめたものだ。
最新の報告書では地域別の感染率も発表されている。その推計値は「甘粛省で約91%、雲南省で約84%、青海省で約80%に達した」とされている。
もし9億人という数字が正しければ、中国の総人口の約64%が新型コロナウイルスに感染したことになる。
残念ながら、国家衛生健康委員会が自国のデータ報告の方法を変更してからというもの、中国で公表される統計が正しいかどうかを知ることはできなくなっている。
BBCのニコラス・ヨン(Nicholas Yong)によれば、「中国政府は昨年12月にゼロコロナ政策を緩和して以来、新型コロナウイルス感染者数の一日ごとの統計の公表を停止している」
「しかし国内にウイルスが蔓延するにつれ、医療施設が充実しておりアクセスのいい大都市にある病院は、新型コロナウイルスの患者でいっぱいになりつつある」とニコラス・ヨン記者は指摘する。
中国では1月22日に伝統の旧正月を迎える。この時期には何百万人もの人々が友人や家族を訪ねて移動をする習慣があり、これは中国政府にとって大きな問題を引き起こす可能性がある。
感染症の専門家であり、エール大学公衆衛生大学院の教授であるアルバート・コー博士は、「旧正月になれば多くの人が移動し、感染対策が脆弱な農村エリアにも多くの人が足を運ぶことになります」と指摘している。
「新型コロナウイルスへの感染が地方に拡大することで、中国がどんな状態におかれるか非常に心配です」とコー博士は危機感を募らせている。
今年1月14日、中国当局は、中国国内における新型コロナウイルス関連の死者数が増加していることを公表した。
「中国政府は(中略)、昨年12月の初めから新型コロナウイルスに感染して死亡した人が約6万人を超えたと発表した。実際各地の病院が過密状態に陥り、火葬場も順番待ちとなっている。こうした状況を受け、政府はかなり信頼に足る数字を提供したといえるだろう。」と、CBCのジョー・マクドナルド記者は伝えている。
6万人余りとされる死者数のうち、5,503人は呼吸不全によるもので、残りの54,435人は「新型コロナウイルスとほかの疾患との合併症」によるとマクドナルド記者は伝えている。
厳しい規制をともなう「ゼロコロナ」政策に対し異例の抗議活動が相次いだことから、中国政府は昨年12月8日から大幅緩和を実施した。しかしそれ以降、新型コロナウイルスの感染者と死者が急増している。
12月18日付のロイター通信によれば、「ゼロコロナ政策の大幅緩和に伴い、それまでの大量検査が打ち切られた。公式に報告された症例数が、感染急増の実際を反映したものかどうか疑問が投げかけられている」。
「中国で12月17日に報告された新規感染者数は2,097人とされる」とロイター通信は付け加えている。
幸いなことに現在、最新データによれば中国における感染の波はピークに達し、すでに減少傾向に転じつつあるとみられている。