クルスク州の高速道路が「死の道」に:放置されるロシア軍車両の残骸
ウクライナの戦場から送られてくる映像はこの戦争の実態を垣間見せてくれるものとして注目を集めている。そして、ウクライナ軍がロシア領のクルスク州に対して仕掛けた逆侵攻では、ロシア軍が相当な損害を被っていることも、こういった映像からわかってきた。
ウクライナの第82独立空中強襲旅団が公開した映像には、ロシア軍が「死の道」と呼ぶ幹線道路が映っている。これはクルスク州にある全長14キロの道路で、撃破されたロシア軍の装備品があちこちに散らばっている。
「死の道」はスナゴスチとゼリョヌィ・シュリャフをつなぐ高速道路の一部であり、撃破された30両あまりのロシア軍車両がそのまま放置されている。このことは第82独立空中強襲旅団が公開した映像からもうかがい知ることができる。
ウクライナの軍事情報サイト「Milirarnyi」によれば、「死の道」に放置されているロシア軍車両のほとんどはウクライナ軍の奇襲攻撃によって撃破されたものだという。
画像:Screenshot X @GeneralStaffUA
RBCウクライナ通信によれば、第82独立空中強襲旅団は声明の中で、「この区間は撃破された敵の装備品で溢れており、打ち破られた敵の焼け跡となっている」と説明。
同旅団いわく:「空挺部隊をはじめとするウクライナ軍の諸部隊は敵の装備品を計画的に破壊し、後に残されたのは灰と残骸だけだ」
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この映像が公開されたのは10月25日だが、作戦が始まったのはその2週間前のことだった。
第82独立空中強襲旅団いわく、「悪名高い(ロシア軍の)第155独立親衛海軍歩兵旅団は装備品に大打撃を被った」そうだ。
画像:Wiki Commons By Mil.ru, CC BY 4.0
撃破されたロシア軍車両の中には、装甲兵員輸送車9両および戦車3両が含まれていた。しかし、ロシア軍が「死の道」で失った装備品はそれだけではない。
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「死の道」には上述の装備品のほか、戦闘車両12両、その他の装甲車5両が放棄されており、損害の程度はそれぞれだという。
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「Militarnyi」によれば、大部分の車両は型番が特定されていないようだ。しかし、一部の残骸については型番が判明しており、その中には少なくともT-72戦車1両が含まれていた、とRBCウクライナ通信は伝えている。
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さらに、空挺戦闘車BMD-1、BMD-3、BMD-4や歩兵戦闘車BMP-2も「死の道」に放置されているのが確認されたという。
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そのほか、戦闘車両のZ-STS「アフマト」とGAZ-2330「ティーグル」が1両ずつ、装甲兵員輸送車BTR-82A1両、装軌車両MT-LB1両も破壊が確認されている。
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「Militarnyi」いわく:「この高速道路は現在戦闘が行われている上述の集落へと至る2本の幹線道路のうち1本だ。どちらもウクライナ軍の射程圏内にあり、破壊工作グループも活動を行っている」
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また、同サイトによれば、「この道路は野原の真ん中にあり、偵察型・攻撃型ドローンから身を隠すための遮蔽物はない」ため、ウクライナ軍にとっては格好の待ち伏せポイントになっているようだ。
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『フォーブス』誌によれば、ロシア軍の第155独立親衛海軍歩兵旅団は10月10日にゼリョヌィ・シュリャフ村を奪還したが、ウクライナ軍は複数の部隊を投入して一帯のロシア軍に攻撃を仕掛けたという。
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「死の道」をめぐる戦闘に参加したウクライナ軍側の部隊は第36独立海兵旅団および第47独立機械化旅団、第82独立空中強襲旅団、第95独立空中強襲旅団。ウクライナ軍はこの戦闘でまだ車両を失っていないそうだ。
また、『フォーブス』誌によれば、ロシア軍第155独立親衛海軍歩兵旅団のメンバーはゼリョヌィ・シュリャフ奪還後にウクライナ人捕虜9人を処刑したとして、各方面から非難を浴びているとのこと。