中国人起業家、外国人として米国2位の土地所有者に:オンラインゲームで巨万の富を築く
米ニュースサイト『ブルームバーグ』の報道によると、オンラインゲーム会社を経営する中国人ビリオネアの陳天橋氏は、米国に8万ヘクタール以上の土地を所有しており、個人としては同国の外国人のなかで第2位の土地所有者となっている。
オンラインゲームで財を成した陳天橋氏がもつオレゴン州の土地面積は、米国の外国人土地所有者のなかでカナダの大富豪アービング家に次ぐ第2位である。
米国における外国人、特に中国人の土地所有は、農務省の2021年の報告書で詳細が発表されて以来、米国の議員らによって懸念されてきた。
2021年には、ノースダコタ州にあるグランドフォークス空軍基地の近くに中国企業が土地を購入したことで、中国企業による土地所有が物議を醸した。
米国の議員らは、外国人地主に関するデータの正確性にも疑問を呈している。陳天橋氏が土地を購入したのは2015年にもかかわらず、この情報が明らかになったのはその8年後、2022年になってからだった。
画像: Comms88 / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)
民主党のジョン・テスター上院議員は、米公共ラジオ放送局であるNPR局に対し、政府は「中国の個人または中国政府の管理下にある人々が所有する」土地の面積を正確に把握できていないと語った。
議員らが懸念しているのは、外国人が取得した土地を登録する方法が自己申告のフォームだけであるため、農務省の監督が行き届いていないということであった。
そのため米上院は2023年7月、中国、ロシア、イラン、北朝鮮の個人や企業に対して一定以上の規模や価値を超えた農地売却を禁止する法案を可決した。しかし、下院とのすり合わせが難航し、法律の発効には至っていない。
この法案が上院で可決されたことは、以前から緊迫していた米中関係にさらなる影響をもたらした。これに対し、バイデン大統領は11月に習近平国家主席と会談を行うなど両国の関係改善に努めている。
2021年のデータによると、中国はアメリカで約15万ヘクタールの土地を所有している。しかし、これは議員たちが拒絶反応を示すほど大きな数字ではないようだ。
陳天橋氏のような個人が所有する土地とは別に、農務省が米NPR局に提供したデータによると、中国企業が米国で所有する土地の80%が3つの企業に属しているという。
NPR局の説明によれば、スミスフィールド・フーズは米国最大の豚肉加工業者だ。この企業は、かつて米国の食肉加工業者だったが、2013年に中国企業に買収された。現在、中国企業が米国で所有する土地の3分の1以上を所有している。
億万長者の孫広信氏は、テキサス州でBrazos Highland PropertiesとHarvest Texasという2つの会社を経営している。 NPR局によると、これらの企業は州の南部に1億坪の土地を保有している。
最後に、中国企業のなかで米国における土地所有面積の第3位は、アリゾナ州にあるウォルトン・インターナショナル・グループという不動産管理会社だ。同社は、米国における中国人所有の土地の約8%を所有している。
膨大な面積に思えるが、中国が保有する米国の土地15万ヘクタールは、世界各国のなかでは18位に過ぎない。米誌『フォーブス』のデータによると、30万ヘクタールを所有する10位のアイルランドに並ぶには、約2倍の土地を取得する必要がある。
米国では外国政府が土地を直接所有することはできない。つまり米国にとっての外国人地主とは、ある国外の企業または個人が米国の土地を所有していることを意味する。米国における外国人地主の上位は上から、カナダ、オランダ、イタリア、英国、ドイツである。
農務省のデータによれば、米国内で所有している土地が最も多いカナダは合計500万ヘクタール近い土地を取得している。これに比べれば、中国系企業が保有する土地はごくわずかだといえるだろう。
さらには、1位のカナダが所有する約500万ヘクタールを含め、外国の個人や企業が米国に所有する農地総面積は1億6000万ヘクタール余り。つまり、米国全体の私有農地に占める割合はわずか3%にすぎないのだ。