カナダが廃棄予定の大量のロケット弾、ウクライナへの譲渡が決定

装備を渇望するウクライナ軍
CRV7ロケット弾
ブダノフ中将の思惑
廃棄予定のロケット弾
CRV7の可能性
ロケット弾の安全性に不安の声も
輸送時の危険性
ウクライナはCRV7の受け入れに積極的
慎重なカナダ政府
今までも多額の軍装備を供給
保守党はウクライナへのロケット弾提供に賛成
カナダ軍に余剰武器の提供を要請
保守党の主張
ウクライナの戦況を一変させる可能性のある兵器
固定翼戦闘機からも発射可能
使用可能なロケットはわずか8,000発のみ?
カナダ国防相が装備提供を発表
装備を渇望するウクライナ軍

今年2月、ウクライナのキリーロ・ブダノフ中将はカナダに対し、同国で廃棄予定となっているロケット弾数万発を譲渡してくれるよう求めた。否定的な見方もあったが、半年余りを経て、この兵器がウクライナに提供されることが発表された。

 

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CRV7ロケット弾

ウクライナ国防省情報総局のトップでもあるブダノフ中将(写真)は、2月5日のカナダ放送局『グローバルニュース』のインタビューで、同国が保有するCRV7ロケット弾8万3000発のウクライナへの提供を依頼したと語った。

ブダノフ中将の思惑

「カナダとウクライナ、双方にとってメリットになることを願っています」とブダノフ氏(写真)は語った。廃棄予定のロケット弾が提供されれば、ウクライナは喉から手が出るほど必要としている弾薬を手に入れることができ、カナダは廃棄処分の手間と費用を節約することができる。

廃棄予定のロケット弾

廃棄予定のCRV7ロケット弾8万3000発は、カナダ中西部サスカチュワン州ダンダーン市にあるカナダ軍倉庫に保管されている。そのロケット弾をウクライナに供与することでカナダ政府は廃棄費用の支出を抑えることができる。

写真:Wiki Commons By Boevaya Mashina - Own Work, CC BY-SA 4.0

CRV7の可能性

ブダノフ中将はカナダ放送局『グローバルニュース』に対し、「軍需品全般や火砲弾薬など、多くの装備が必要だ」と語り、リスクはあるもののCRV7はウクライナ軍にとって大きな助けになるだろうと述べた。

ロケット弾の安全性に不安の声も

CRV7は空対地ロケット弾だが、2005年に運用を中止されている。数十年前のロケット弾のため、カナダ軍は安全性を懸念しているようだ。

写真:Wiki Commons By Marcelloo - Own work, CC BY-SA 3.0,

輸送時の危険性

開発からすでに数十年を経たCRV7ロケット弾の輸送は危険を伴う可能性がある。しかし、ブダノフ中将の報道機関への説明によれば、ウクライナは切実に兵器を必要としておりリスクを負う覚悟ができているという。

ウクライナはCRV7の受け入れに積極的

ブダノフ氏は「ウクライナ側ではとくに心配はしていません」と述べ、ウクライナはCRV7のような古いロケット弾の扱いに慣れていると付け加えた。しかし、カナダ当局はロケット弾の移送についてまだ最終決定を下していない。

 

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慎重なカナダ政府

カナダ国防大臣ビル・ブレアの代理人は米ウェブサイト「ビジネスインサイダー」に対し、同国政府はCRV7ロケット弾が「ウクライナへの供与前に、軍事作戦上効果的かつ安全に輸送可能である」ことを確認する必要があると語った

今までも多額の軍装備を供給

「ウクライナに対する我が国の軍装備供給についてはあらゆる可能性を検討してきました。実際、M777榴弾砲やドイツ製戦車『レオパルト2』を含む多額の装備を寄付しています」と代理人は続けた。

保守党はウクライナへのロケット弾提供に賛成

野党であるカナダ保守党は、CRV7ロケット弾は多額の税金をかけて廃棄処理を行うよりも、ウクライナの戦線に移送すべきだという見解を発表した。

カナダ軍に余剰武器の提供を要請

米『ニューズウィーク』紙によると、カナダ保守党は声明で「カナダ軍が所有しているCRV7ロケット弾に関して、トルドー政権は破棄を予定している」と説明している。 加えて、「ウクライナはカナダ政府に対し、余剰武器の供与を求めた」と述べた。

保守党の主張

「良識ある保守党は、廃棄費用数百万ドルをカナダ国民に負担させるのではなく、ウクライナの主権を守るためロケット弾を供与するようトルドー政権に求めている」と声明は続いている。

ウクライナの戦況を一変させる可能性のある兵器

ブダノフ中将によると、CRV7ロケット弾の開発からすでに数十年が経過しているが、軍用ヘリコプターでの使用が可能なうえ、発射装置から戦車や大砲を標的にできるため、ウクライナにとって貴重な兵器となるかもしれないという。

写真:Wiki Commons By Staff Sergeant Mike Harvey/MOD、OGL v1.0

固定翼戦闘機からも発射可能

カナダ放送局『CBCニュース』によれば、CRV7は固定翼機と軍用ヘリコプターの両方から発射可能であり、さまざまな種類の弾頭を搭載しているという。そのうちの1つである7.3キログラム型は、装甲車や重装備の戦車でさえも貫通できるという。

使用可能なロケットはわずか8,000発のみ?

カナダが廃棄予定のCRV7ロケット弾をウクライナに送るかどうかはまだ議論の余地が残されているほか、カナダ放送局『グローバルニュース』は、供与されるCRV7のうち使用可能なものは8,000発程度にとどまる可能性があると指摘している。

 

カナダ国防相が装備提供を発表

今年9月、ドイツのラムシュタイン空軍基地でウクライナ防衛コンタクトグループの会合が開催された。この機会にカナダのビル・ブレア国防相はウクライナに対し、8万点を超えるCRV7ロケットエンジンと1,200個の弾頭を含む軍事装備の提供を発表したという。RBCウクライナ通信が伝えている。

 

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