ウクライナ軍兵士が語る、トランプ氏当選への思いとは
ウクライナ軍の兵士たちが、トランプ氏勝利に対する期待と不安を米オンラインメディア「ビジネスインサイダー」に語っている。
同ウェブサイトによると、トランプ氏は折に触れて自分が大統領なら「すぐに戦争を終わらせる」と発言しており、ウクライナでは軍関係者を中心に軍事支援打ち切りへの不安が広がっているそうだ。
同ウェブサイトが、ウクライナ領土防衛隊に所属するある大尉に、他国からの援助が減ってもウクライナは自国を防衛できるのかと尋ねたところ、以下のように答えたそうだ。
「はい、可能です。問題は私たちが支払うことになる、命という『代償』ですね」とオレフ・ホルベンコ大尉は説明した。他国からの援助削減を気掛かりに思っている兵士は彼だけではない。
かつて陸軍の第47独立機械化旅団に所属していた49歳の将校、ミコラ・メルニクはウクライナ紙『キエフ・インディペンデント』に対し、軍の誰もがトランプ氏の勝利が何を意味するか理解していると語った。
「バイデン大統領時代のように援助は継続しつつも、徐々に減少していくようなことにはならないだろう。今やウクライナへの援助は増加するか、完全に停止するかのどちらかだ。トランプ氏がどう行動するかは世論次第だろう」と同氏は発言した。
同氏によると、トランプ氏はウクライナでの戦争への対応について矛盾に満ちた発言を繰り返しており、ウクライナの将来がどうなるか予測するのは難しいという。
「トランプ支持者はアメリカを再び偉大な国にしたいと望んでおり、プーチンを危機的な立場に追い詰めることは、トランプが有権者を満足させるための選択肢のひとつかもしれない」と同氏は語った。
メルニク氏の見解が正しいかどうかは不明だが、元米陸軍将校のライス氏によれば、トランプ大統領の当選により「新たな不安と不確実性」が生まれたという。
米オンラインメディア「ビジネスインサイダー」によると、同氏は「新政権がウクライナを支援するという強い声明を出せば、ウクライナ情勢は直ちに改善されるだろう」と述べた。
そのほかの兵士たちもトランプ氏の勝利がウクライナの将来にもたらす影響について危機感を抱いており、とりわけ本当の解決ではない「紛争の凍結」に持ち込まれることを危惧している。
米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』の取材に匿名で応じたウクライナ軍大隊司令官は、紛争の凍結は問題を次の世代に引き継ぐだけだと語った。
「紛争の凍結や和平交渉での譲歩は、次世代に戦争を引き継ぐだけです」と大隊司令官は述べ、それによりロシアは軍隊を再建し、再びウクライナの領土を侵攻するだけだと付け加えた。
ウクライナ軍内部では、トランプ氏当選を楽観視する声も挙がっている。ハリス副大統領では実現できなかったような形で、ウクライナが戦争に勝つために必要な支援をトランプ氏が提供してくれることを期待しているようだ。
ウクライナ軍兵士オレクサンドル・プレスコフは米オンラインメディア「ビジネスインサイダー」に対し、ハリス副大統領の勝利はバイデン氏の政策が継続することを意味し、現在の政策は十分でないと述べた。
ウクライナ軍将校オルガ・ビガルも、同ウェブサイトに対し以下のように語った。「トランプ氏の強い決断力には感心しています。しかも、同氏はプーチン大統領に譲歩した人物として世界史に名を残すことは望んでいないはずです」
ロシアの侵略から祖国を守るために戦っているウクライナ兵たちが、トランプ氏の当選について希望や不安を抱えるのは当然のことだ。来年1月には大統領に返り咲く、トランプ氏の今後の言動に注目が集まっている。