ウクライナ軍のドローンが高価値目標を破壊、しかしウクライナの窮状が浮き彫りに

ウクライナ軍のドローンがロシア軍の倉庫を襲撃。来たるべき攻勢に向けて保管されていたロシア軍の車両数台を破壊したようだ。

『フォーブス』誌のデイヴィッド・アックス記者によれば、ロシア軍はアウディイウカの占領で勢いづいており、ウクライナ南部でさらなる攻勢を仕掛けるため、高性能な装備品を送り込んだところだったという。

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これらの装備品は倉庫内に隠されていたが、ウクライナ軍によって場所を突き止められ、たちまち撃破されることとなった。作戦は熟練の操縦者がFPV（一人称視点）ドローンを用いて実行したそうだ。

ウクライナ軍の独立大統領旅団に所属するドローン操縦士らは、スタロムリニウカ村に保管されていたロシア軍の装備品4点を破壊。その様子を撮影した動画を公開した。

ウクライナのTelegramチャンネル「Censor」を通して公開された動画からは、ロシア軍の倉庫群に接近したドローンが、入り口に向かって飛び込んでゆく様子が見て取れる。

写真：Telegram @censor_net

倉庫内に侵入したウクライナ軍のドローンはゆっくりと旋回しながらターゲットを絞り、装甲戦闘車両「BMPT テルミナートル」に狙いを定めると急降下してこれを爆破した。しかし、ウクライナ軍による襲撃はこれで終わりではなかった。

写真：Telegram @censor_net

動画にはさらに、ドローン3機が同じ倉庫と見られる場所に続々と飛来し、それぞれ別の装備品に狙いを定めて撃破する様子が映し出されていたのだ。また、別のドローン視点から倉庫の炎上を捉えたショットも挟まれていた。

写真：Telegram @censor_net

動画ではその後、別の場所で行われたと見られるドローン攻撃の様子が流れ、上空を飛行するドローンの視点から倉庫の炎上を撮影した、複数のショットが映し出されている。ただし、これらの倉庫が同一のものであるという保証はない。

写真：Telegram @censor_net

『ウクライナ・プラウダ』紙が伝えたところによると、ドローン操縦者は今回の襲撃によって、T-72戦車2台とS-60対空機関砲1基、前述の「BMTP テルミナートル」に加え、弾薬を満載したオフロードトラック「ウラル-4320」2台を破壊したと主張しているとのこと。

写真：Telegram @censor_net

操縦者いわく：「ロシア軍は来たるべき攻勢に向けて装備品を1ヵ所に集めていたようです。しかし、我が軍のパイロットがこれを発見し、ドローンで攻撃したのです。侵略者たちは車両を倉庫に隠していましたが、それでもドローンの目を欺くことはできなかったわけです」

写真：Telegram @censor_net

『フォーブス』誌によれば、ウクライナ軍のドローン部隊は今回の攻撃について、およそ5,000ドルのコストでロシア軍の装備品に数千万ドル規模の被害を与えたとしている。しかし、注目すべきは今回のドローン攻撃が前線の遥か後方で行われたという事実だ。

写真：Wiki Commons By Kirill Borisenko - Own Work, CC BY-SA 4.0

前出のデイヴィッド・アックス記者いわく：「ロシア軍が戦車やBMP（歩兵戦闘車）を、ウクライナ軍が運用する通常型FPVドローンの届く距離にある倉庫に保管していたとは思えません。こういったドローンの航続距離は3キロメートルほどです」どうやら、ウクライナ軍のドローンは何らかの方法で、15キロメートルほど飛行した可能性があるというのだ。

今回、鮮やかなドローン攻撃を披露したウクライナ軍だが、同時に由々しき問題を抱えている現状が浮き彫りになってしまったようだ。アックス記者が指摘する通り、ドローンで前線から15キロも離れた目標を攻撃する能力があるのならば、もっと破壊力のある兵器を使った方がよいはずなのだ。

もし、大砲や滑空爆弾、ロケット砲で倉庫を攻撃していれば、ウクライナ軍はロシア軍の施設全体を確実に仕留めることができたはずだ。ところが、実際に用いられたのはドローンであり、このことはウクライナ軍が破壊力の高い兵器を使い果たしてしまった可能性を示唆している。

アックス記者いわく：「答えは明らかです。破壊力の高い弾薬をウクライナに提供してきたのは主に米国ですが、10月以降はロシアシンパの共和党議員たちが新たなウクライナ支援に関する法案の採決を拒んでいるのですから」

アックス記者はさらに、今回行われたドローンによる倉庫襲撃について「ウクライナにとって悪いニュース」だと断言。ロシア軍にとっては恥ずべき失態に過ぎないが、「ロケット弾の代わりにドローンで攻撃する以外に選択肢がないというのは、ウクライナ軍にとって恐ろしいこと」なのだ。

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