ロシア領クルスク州で起こった接近戦:ウクライナ軍戦車がロシアの装甲兵員輸送車を撃破
最近、ロシア軍の装甲兵員輸送車「BTR-82A」がウクライナ軍のT-64戦車2両と遭遇し、撃破される様子を捉えた映像がネット上に公開された。
この映像はウクライナ人ジャーナリストのユーリ・ブトゥソウ氏がTelegram上に投稿したもので、戦闘に関する情報も付されていた。
画像:Screenshot Telegram @ButusovPlus
同氏の投稿によれば、ウクライナ軍のT-64戦車は第17独立戦車旅団所属で、クルスク州での作戦行動中にロシア軍のBTR-82Aと遭遇したという。
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ブトゥソウ氏はEuromaidan通信に対し、「この戦闘はすでに10週目に入ったクルスク州への逆侵攻の中で起きたものであり、ロシア軍はウクライナ軍支配地域にできた突出部の西端に沿って反撃を始めている」と説明。
同氏はさらに、「戦線は流動的で、ロシア軍とウクライナ軍が入り乱れる混乱した状況となっている」とした。
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公開された映像は偵察ドローンが撮影したもので、最初のシーンでは野原を走行するBTR-82Aが映し出される。その後、カメラのズームアウトによって、この車両がウクライナ戦車2両に向かって近づいていることが明かされた。
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ウクライナの軍事情報サイト「Militarnyi」によれば、先頭を走っていたT-64がロシア軍の装甲兵員輸送車めがけて砲撃し、砲弾を命中させたという。
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同サイトいわく、「最初の砲撃を受け、ロシア軍の装甲兵員輸送車は停止し、乗員たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した」とのこと。
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ロシア軍のBTR-82Aが自力で停止したのか、それとも被弾して走行不能に陥ったのかは不明だ。いずれにせよ、ウクライナ軍戦車は動かなくなったロシア軍車両に容赦ない追い打ちをかけた。
画像:Screenshot Telegram @ButusovPlus
2両目のT-64戦車が砲塔を回転させ、ロシア軍のBTR-82Aに向かって砲撃したのだ。これによってBTR-82Aは炎上し、撃破されてしまった。
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映像には、装甲兵員輸送車から逃げ出すロシア兵の様子も映っている。「Militarnyi」によれば、このような光景は前線における日常茶飯事だという。
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同サイトいわく:「ロシア兵たちが混乱に陥って持ち場を離れ、ウクライナ軍の陣地に飛び込んでくることは珍しくない」
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「さらに、ロシア軍は後方でも連携がとれておらず、工兵部隊は防衛線や対戦車障害物の設置について、しかるべき報告を行っていない」そうだ。
『フォーブス』誌のデイヴィッド・アックス記者は今回の映像について、ウクライナ側の戦車はT-64またはT-72である可能性が高いと指摘。「ロシア軍車両がわざわざ接近した理由は不明」だと付け加えた。
ロシア軍の装甲兵員輸送車がウクライナ軍戦車に接近した理由については、さまざまな推測がなされている。たとえば、ウクライナ軍の戦車を味方と誤認したとする説や、敵の戦車が行動不能に陥っていると勘違いしたという説などだ。
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Euromaidan通信によれば、米陸軍の元大将マーク・ハートリング氏はこの戦闘が普通ではない点を強調。「私がこれまで見た中で最も接近した戦車戦だった」と述べたそうだ。
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