ウクライナ軍が奇妙なロシア軍車体を撃破:海軍用の兵器を括りつけた装備とは
ウクライナ軍が風変わりな戦果を公表した。同軍が撃破したロシア軍の装甲車両には、なんと海軍がつかう艦艇用の兵器がくくりつけられていたのだ。
ロシア軍は以前から、ウクライナでの戦闘に使用するためにさまざまな兵器を装甲車両上部に設置してきた。だが、今回確認されたものは並外れて奇妙なものだった。
画像:X(旧Twitter) @Baterial1
奇妙な戦果を公表したのはウクライナの第3独立強襲旅団の広報だ。それによると、同旅団がドローンを使って破壊した車両上部に、RBU-6000「スメルチ-2」対潜迫撃砲が備え付けられていたという。
画像:Wiki Commons By Hunini, Own Work, CC BY-SA 4.0
ウクライナの軍事ニュースサイト「Militarnyi」によると、RBU-6000はハルキウでウクライナの陣地を砲撃するために使われていたという。第3独立強襲旅団のドローンがこれを発見、破壊したとされる。
画像:Telegram @ab3army
同旅団が公表した動画では、ドローンがRBU-6000を搭載した車両に何度か接近し、最終的に自爆攻撃を行っている。動画内ではRBU-6000が破壊されたように見えるが、それまでは実際にロケット弾を発射できていたようだ。
画像:Telegram @ab3army
「Militarnyi」はこう書いている:「(ドローンの攻撃後に)爆発が起こらないことから考えて、この車両は攻撃を受けて炎上する前に弾薬を撃ち尽くしていたようだ」RBU-6000を搭載していたシャーシがどの車両のものかは明らかになっていない。
画像:Telegram @ab3army
「Militarnyi」によると、第3独立強襲旅団の広報はRBU-6000を搭載していた車両はMT-LBだとしているという。だが、同サイトの見解では、動画からは戦車のシャーシと見受けられるとのことだ。
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画像:Wiki Commons By Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0
「Militarnyi」はこう書いている:「車軸が6本あり、排ガスはシステムを通じて横に排気されている。排気部はサーマルカメラではとても明るくなっている。以上のことから、この車体はT-72のもので間違いない」さて、それではRBU-6000「スメルチ-2」とはどのような兵器なのだろうか
RBU-6000「スメルチ-2」は水上艦艇が搭載する、対潜迫撃砲だ。防衛情報紙『EurAsian Times』によると、もともとはソ連時代、1960年代に開発されたもので、213mmロケット砲を用いて敵の魚雷や潜水艦を攻撃するためのものだという。
画像:Wiki Commons By Brian Burnell / George Hutchinson Own work, CC BY-SA 3.0
RBU-6000は12発のロケット砲を装填できる。そして、今回公開された動画から確認できるように、ロシア軍はこの兵器を改造して陸上で使用できるようにしたらしい。だが実は、ウクライナ軍がRBU-6000を破壊したのは今回が初めてではない。
画像:Wiki Commons By Hunini, Own Work, CC BY-SA 4.0
「Militarnyi」によると、RBU-6000「スメルチ-2」は弾薬として無誘導のRGB-60 213mmロケット弾を用いているという。同弾の有効射程は5,200mで、ロシアの122mm自走多連装ロケット砲BM-21「グラート」と同程度の威力を持つという。
「Militarnyi」は今年1月に、ロシア軍ではロケット砲が不足しておりT-80戦車の車体にRBU-6000を搭載していると報じている。この報道は軍事ブロガーのアンドリィ・タラセンコが投稿した動画に基づいていた。
画像:Telegram @btvt2019
ウクライナ軍は実際に2024年春に同様のシステムを2基破壊しているが、その時RBU-6000を搭載していた車体は多目的トラック「ウラル-4320」だった。
画像:Wiki Commons By Druschba 4, Own Work, CC BY-SA 4.0
ウクライナの第93独立機械化旅団は自身のテレグラムチャンネルに動画を投稿、次のように説明した:「この、フランケンシュタインの怪物的なロケットランチャーはバフムト地域を走行していたが、ドローンの温かな歓迎を受けて停止した」
画像:Telegram @ssternenko
RBU-6000が最初にウクライナで確認されたのは2023年9月という見解がある。「EurAsian Times」によると、その時はMT-LBがRBU-6000を搭載していたというが、前線で実際に発砲したかは不明とも言われている。
画像:X @ TheDeadDistrict
ロシア軍が海軍用の兵器を陸上用に転用しているのは、必要な装備を潤沢に用意できていないことのあらわれかもしれないが、日々姿を変える現代の戦争に対する斬新な解決法を見いだしたという可能性も残されている。