ウクライナ軍が有効活用する「竜の歯」:対戦車障害物でロシア軍の車列を食い止める
最近、ウクライナの前線で撮られた動画から、かつて第二次世界大戦時代に多くの軍隊が採用した装備が現代でも有効なことが判明し、話題となっている。これは対戦車を食い止めるための障害物で、「竜の歯」と呼ばれている。
ウクライナ軍が用いている「竜の歯」はピラミッド型のコンクリート塊で、軍事メディア「Militarnyi」によると、クラホヴェ近郊で侵攻してきたロシア軍戦車を止めることに成功したのだという。その時の記録が動画で残されており、ウクライナ軍が公開している。
ウクライナ軍の第46独立空中機動旅団が公開した動画は、「竜の歯」の有効性を非常に良く示している。その動画では、ロシアの攻撃が「竜の歯」によって停滞させられている様子が映されている。
画像:Telegram @oaembr46
「Militarnyi」によるとその動画に収められているのは、ロシア軍の車列が、同旅団が設置した防御陣地を突破しようとした時のことだという。車列は「竜の歯」を乗り越えられず、攻撃は失敗に終わった。
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ロシア軍は占領したマクシミリアーニウカからクラホヴェに向かって進撃、その地域にある道路を迂回し、野原からウクライナ軍の陣地を攻撃しようとしたとされる。
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「竜の歯」に阻まれたロシア軍の車列はウクライナ側の砲火に曝さることとなった。その結果、速度を落として障害物に対して砲撃を行うことを余儀なくされた。この一連の流れが、ドローンによって撮影されていたのだ。
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第46独立空中強襲旅団が動画に添えて公開した情報によると、ロシア軍の車列は5両の歩兵戦闘車と2両の戦車から構成されていたという。車両の具体的な型式については明らかになっていない。
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ロシア軍の車列が停止したのを見計らって、ウクライナ軍のドローンオペレーターがFPV自爆ドローンを用いて攻撃を開始。「竜の歯」に砲撃を行っている車両に狙いを定め、その動きを停止させた。
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同旅団の報告によると、車列のうち歩兵戦闘車4両と戦車2両の破壊に成功したという。ただし、この主張は第三者による確認は取れていない。
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同じ日の午後、歩兵戦闘車2両と戦車1両からなるロシア車列が同じ地点を攻撃、ウクライナの同旅団はそれも撃破したとしている。
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2度目の攻撃も同旅団が発表した動画に収められていたのかについては、はっきりとは確認されていない。
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「Militarnyi」によると、「竜の歯」は戦車を止める上では非常に有効だが、防衛的にしか活用できず、動きを止めた装甲車両に対して有効な攻撃を加えることができる部隊が控えていることも必要だという。
「Militarnyi」はこう書いている:「敵に対して有効な打撃を与えられる部隊が控えていなければ、『竜の歯』の効果も低い」今回公開された動画の場合は、まさに有効活用できた事例と言えるだろう。
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同サイトによると、「竜の歯」などの対戦車障害物は敵軍が地域一帯を通過することを困難にするのだという。また、この種の障害物には有刺鉄線などの別種の障害物が組み合わされることが多いともされている。
同サイトはこうも書いている:「防御効果を高めるために、対戦車障壁類は地中に埋められるのが一般的だ。だが、今回の戦争ではただ地上に設置されるだけのことが多い」
同旅団が公開した動画からは、「竜の歯」が埋設されているかどうかは判然としない。だが、設置方法はともかく、ロシア軍の車列に対して一定の効果を発揮したことは確実なようだ。
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