ウクライナ軍、ロシア軍の高価な爆撃機をバフムト上空で撃墜か?
ウクライナ空軍の報告によると、バフムト近郊に展開中のウクライナ軍対空砲火隊が、ロシア軍の超音速爆撃機を撃墜したという。
「2023年3月29日、ウクライナ空軍の対空ミサイル部隊が、ロシア軍の『Su-24M』爆撃機を撃墜した」というウクライナ空軍の声明は、軍の管理するあらゆるソーシャルメディアのアカウントに投稿された。
爆撃機が撃墜されたのは現地時間の午後1時30分ごろ、バフムト近郊でのことだった。ウクライナ軍はロシアの「スホーイSu-24M」爆撃機が撃墜されたと明言しているが、パイロットたちの生死については沈黙している。
『CNN』は最新の戦争報道でこの一件に触れているが、ウクライナ空軍の出した今回の情報の真偽のほどは未確認だとしている。
バフムト上空では、この3月中に既に2機の爆撃機が撃墜されており、今回の撃墜が起きた2週間前にも、同じく高額な超音速爆撃機「Su-24」がウクライナの防空網によって撃墜されている。
3月15日、ウクライナ大統領府長官のアンドリー・イェルマークは証拠となるビデオを公開し、ロシアの「Su-24」爆撃機はウクライナの第93独立機械化旅団によって撃ち落とされたと主張した。
ウクライナ国防省は「Su-24」の撃墜動画を再編集した形で公開し、加えて撃墜地点の正確な座標を示し、そのエリアをかのバミューダ・トライアングルになぞらえてみせた。
スクリーンショット:Telegram @ermaka2022
「ウクライナにおける最も謎めいた場所は『バフムト・トライアングル』である。ロシアの航空機が1年間も消息を絶っているエリアだ」と、ウクライナ国防省はバミューダにひっかけてツイッターに投稿している。
スクリーンショット:Twitter @DefenceU
オンライン新聞メディア『The Kyiv Independent』によると、ロシアの「Su-34」戦闘機も3月上旬にバフムト上空で撃墜され、パイロット1人が死に、1人が負傷したという。
戦争が始まって以来、ロシアは重要な戦闘機を数百機単位で失っており、ウクライナ軍参謀本部によるとその数は3月31日の時点で306機にのぼるという。
オランダの非営利オープン・ソース・インテリジェンスである『Oryx』は、ロシア軍の装備品の損害を、写真やビデオといった映像的証拠によって確認できるものに限りカウントしている。戦闘不能となったロシア軍戦闘機について同団体のカウントは、ウクライナ軍の出している数字を下回り、撃破が78機、損傷が70機である。
『Oryx』によると、戦闘から離脱した9機のロシア軍戦闘機「Su-24M」のうち、撃破は7機、損傷は2機だという。
撃破されたロシア軍の「Su-24」爆撃機は、その大半が飛行中に撃ち落とされたわけではなく、地上で撃破されたのだった。クリミア半島に位置するロシア軍のサーキ飛行場にウクライナ軍は昨年8月に大胆な空爆を行ったのである。今回バフムトの上空で戦闘機が撃ち落とされたことは、したがって非常にゆゆしい事態だと言える。
写真:Twitter @Maxar
軍事情報サイト『Military Today』によると、「スホーイSu-24」爆撃機は旧ソ連時代の全天候型爆撃機で、1960年代に初めて導入された。この爆撃機は核兵器を搭載することができ、現在でも空軍にとって強力な兵器でありつづけている。とりわけ1980年代後半にアップグレードされた「Su-24M」型はなおさらそうだという。
写真:Twitter @Maxar
「『Su-24』シリーズは現在も、長距離飛行と低空飛行を得意とするパワフルな攻撃機でありつづけており、真に全天候型と言える高精度な攻撃能力を持つ」と『Military Today』は書いている。
航空機のデータベース的ウェブサイト『Aero Corner』によれば、「Su-24」の新品価格は1997年でおよそ2500万ドルだった。物価上昇分を加味すると、1機の「Su-24」を失うことは現在の価格でざっと4200万ドルの損失を意味する。これはウクライナに展開するロシア空軍にとって相当に手痛い打撃のはずだ。