ウクライナ戦争の前線へ:大学生召集を計画するロシア

ロシア学生に対する動員の動き
ウクライナ情報機関のリーク
高等教育機関に目を付ける
「通知ステーション」の設置
学生と教職員が配属される
学生を無理やり動員か
大学執行部が徴兵を担う?
証拠は3枚の公的文書
プロパガンダの可能性に留意
動員の法的根拠はすでにある
目安の日付は4月1日
まだ生きている「部分動員」
徴兵の再開
2022年9月21日の動員
ロシア市民の反応は?
ロシア学生に対する動員の動き

ウクライナ国防省情報機関がリークした文書によると、ロシア当局は動員を計画しており、とりわけ学生を駆り出す動きがあるという。『ビジネス・インサイダー』のクリス・パネラ(Chris Panella)が伝えた。

ウクライナ情報機関のリーク

ウクライナ国防省情報機関がTelegramを通じて明かした情報をもとに、『ビジネス・インサイダー』のクリス・パネラ記者は「ロシアは大学生を徴兵してウクライナの前線へ送り込もうと準備している。しかも、フルタイムの学生を大規模に動員する計画を進行中」としている。

高等教育機関に目を付ける

Telegramの記事はさらに「ロシアは次の召集の波がやってくるタイミングに備えている。いまは国中の高等教育機関の学生を動員すべく、チャンスを積極的にうかがっているところだ」と続ける。

「通知ステーション」の設置

「この目的のため、いわゆる通知ステーションが設置されつつある。徴兵オフィスの仕事をサポートし、フルタイムの学生宛てに召集令状を送付することになっている」(続く)

学生と教職員が配属される

具体的には、ノボシビルスク教育大学、トムスク工科大学、トムスク国立教育大学の執行部がそれぞれの下部組織に指示を出し、決められた数の学生と教職員を前記の通知ステーションに配属させるよう促した。

学生を無理やり動員か

「この計画は、動員にしたがう義務が公式にはないはずの市民も動員しようとするものである。すでに確認されたところでは、トムスク工科大学の学生たちが、本人の同意も事前の通告もなしで、通知ステーションへの配属が決まったという」

大学執行部が徴兵を担う?

ウクライナ当局はさらに、「これらの通告ステーションの運営は、教育機関の役員たちに任された」としている。徴兵活動は今後さらに拍車がかかるかもしれない。

証拠は3枚の公的文書

ウクライナ国防省情報機関は同ウェブページに3枚の公的文書の写真を公開している。この文書はロシア連邦教育省からトムスク工科大学にわたされた命令書で、大学当局への指示が記されている。職員及び学生はステーションの管理を運営を行い、大学に割り当てられた動員にもとづき義務付けられた兵役に関し、市民に通知を行うこととされているのだ。実際にそうなれば、ロシアの学生が自分の学友に召集令状を手渡すような場面も起こりうる。

プロパガンダの可能性に留意

教育機関はまだ序の口で、プーチン大統領はさらに手広く徴集をかけ、動員数を増やしていくつもりである、というのがウクライナ政府情報機関の見立てだ。ただし、これはあくまでウクライナ側の推測である点に留意する必要があるだろう。

動員の法的根拠はすでにある

ウクライナ政府情報機関のTelegramに戻ろう。「次の新規動員に際し、ロシアはとくに新たな法的根拠を必要としていない。2022年9月に発動した『部分動員令』が、まだ公式には完了していないことになっているからだ」(続く)

目安の日付は4月1日

「今回の動員は、春の徴兵が始まる4月1日以前に実施されると予想されている。もし必要に迫られれば、ロシア政府は徴兵の開始を遅らせるかもしれない」

まだ生きている「部分動員」

問題となっている「部分動員」は、2022年10月にプーチン大統領本人がその完了を宣言し、同プログラムの停止が告げられていたのだった。だが、何らかの政令によって停止が決まったわけではないので、この命令はいまも「全面的に効力がある」と、政治メディア『ポリティコ』は伝えている。

徴兵の再開

さきのプーチン大統領の宣言の後にロシア国防省はコメントを出し、「予備役の市民の徴兵にかかわる活動はいっさいストップしている」とした。これはしばらく休憩をとっただけのことだったのだろう。

2022年9月21日の動員

さかのぼって2022年9月21日、プーチン大統領は30万人の予備役を動員すると発表した。当時、ロシア軍の敗走が度重なり、ウクライナの側に勢いがついていた。

ロシア市民の反応は?

9月上旬、米シンクタンク「戦争研究所」は報告を発表し、ロシア当局は水面化で着々と動員戦略を進めているが、これは「第1波の動員がまったくの不人気に終わる」ことを恐れているからだと指摘していた。今回、大学でおおっぴらに徴兵が行われるとすると、ロシア市民のあいだで戦争に反対する動きがふたたび勢いを盛り返すのではないだろうか。

 

 

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