ウクライナ慈善団体への寄付「50ドル」で禁固12年に:自国民にも監視の目を光らせるプーチン政権
ロシアの裁判所は最近、ロシア系米国人クセニア・カレリナ氏(32)に対し、ウクライナ侵攻が勃発したその日にウクライナの慈善団体に寄付をしたとして、禁固12年の有罪判決を言い渡したという。スカイニュース放送が伝えた。
同氏は数年前からカリフォルニア州で暮らしていたが、自分が国家反逆罪で拘束されることになろうとは露知らず、今年1月に親戚を訪問するためロシアに帰国してしまったのだ。
NBC放送によれば、カレリナ氏はロシア生まれだが、10年あまり前に米国に移住し、ロサンゼルスのスパでエステティシャンとして勤務していたほか、セミプロのバレリーナでもあるとのこと。
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同氏は今年1月、ロシア中西部の街エカテリンブルクで暮らす家族のもとで新年を祝うためロシアに帰国したが、そのまま当局に身柄を拘束されることになってしまった。
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帰国前、カレリナ氏は交際相手のクリス・ヴァン・ヘーデン氏に対し、ロシアへの渡航は安全であり、懸念する必要はないと説明していたそうだ。
画像:MSNBC
CNN放送によるインタビューの中で、ヴァン・ヘーデン氏はカレリナ氏の人柄について、とりたてて政治に関心があるわけではなく、ロシア人であることを誇りにしていたと語っている。
ヴァン・ヘーデン氏はさらに、「彼女(カレリナ氏)はニュースも見ないし、何らかの活動に首を突っ込んでいたこともありません」とコメント。ウクライナ侵攻の話題に触れたことは一度もないと断言した。
CBS放送いわく、ロシア連邦保安局(FSB)に逮捕されたカレリナ氏の容疑は当初、「ささいな非行」に過ぎなかったが、その後「国家反逆罪」に引き上げられてしまったらしい。
『ガーディアン』紙によれば、ロシアの検察当局はカレリナ氏が「ウクライナの組織に積極的に資金提供し、ウクライナ軍はこの資金を医薬品や装備、武器弾薬の購入に充てた」と主張しているようだ。
ところで、カレリナ氏による「資金提供」はどのくらいの規模だったのだろうか?『ガーディアン』紙の報道によれば、交際相手のヴァン・ヘーデン氏いわく、ウクライナ側の慈善団体におよそ50ドル寄付したことがあるのみだそうだ。
CBS放送によれば、米当局はカレリナ氏の逮捕について、自国内で米国人を恣意的に逮捕していると非難したという。ロシアは拘束した米国人を持ち駒にして、米国で収監されているロシア人と囚人交換するつもりだというのだ。
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