ウクライナ保安庁、ロシアのスパイ組織を摘発
ウクライナ保安庁が同国内で活動しロシアに情報を渡していた組織を摘発、無力化した。ウクライナのハルキウ州内に展開する同軍部隊の情報を流し、ロシア軍が正確な攻撃をするのを幇助していたという。
ウクライナ保安庁(SBU)のサイバー専門家らが摘発したグループはロシア連邦軍参謀本部情報総局と通じていたという。SBUのヴラディスラフ・アブドゥラ報道官は、そのグループは発見後即座に無力化されたとしている。
その組織はロシアの諜報部と通じており、ウクライナの防衛に関わる位置情報を収集していたほか、鉄道網など、同軍の装備を配備するためのルートの情報も提供していたという。
ハルキウのメディア会社「Gwara Media」によると、アブドゥラ報道官はこう述べている:「また、該当組織には敵対国から指令が出されており、同地の最前線を守る兵士たちを個人的に脅かすような情報を収集していた」
ロシア情報総局はそのような情報を用いて、ウクライナに対する諜報活動のエージェントを確保しようとしていたようだ。だが、報道官の報告ではこれ以上の詳細は明かされなかった。
ロシア側は特に、地域の徴兵センターや検診所に狙いを定めていたらしい。これらの部門に最近大規模な汚職調査が実施されたことを考えると興味深いといえる。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙によると、ゼレンスキー大統領は8月に各地の徴兵センターの責任者を全員解任している。そして9月には開戦以来、軍が発行したあらゆる診断書を再調査するよう命じる大統領令にも署名している。
ロシア側はハルキウに潜んでいたエージェントからのフィードバックをもとに、実行した空爆の正確性を高めていた。空爆によって実際に被害が発生した場所を報告し、ロシア側はその情報を元に攻撃を修正するのだ。
保安庁による摘発は何回かにわたって行われ、計4名のエージェントが自宅にいたところを拘束された。アブドゥラ報道官によると、活動のリーダーは同地の元住民で、開戦後まもなくロシアに移住したという。
写真:Facebook @VladislavAbdula
この元住民が4名の市民をリクルート。職業はタクシードライバーからガス会社従業員までさまざまだった。「Gwara Media」によると、活動員たちは攻撃を受けた地点を車でめぐり、実際に訪れていたという。
写真:Facebook @VladislavAbdula
そうやって集めたデータは、ロシアにいるリーダーを経由してロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)に送られていた。
写真:Facebook @VladislavAbdula
ウクライナ保安庁は活動員らを拘束した後、家宅捜索を通じて情報の送信に使われていたコンピュータや携帯電話を押収、活動の実態が明らかとなった。
写真:Facebook @VladislavAbdula
さらに、当局の発表によると家宅捜索の過程で3つの手榴弾が発見されたという。ただし、アブドゥラ報道官の報告内ではその利用目的などの詳細は明かされなかった。
写真:Facebook @VladislavAbdula
報道官はさらに、拘束された4名のうち3名はウクライナ刑法の定める反逆罪で、1名は違法な武器取引の罪で訴追されるという。
拘束されたエージェントらがどのような刑を宣告されるかは以降の裁判しだいだが、アブドゥラ報道官によると最大で終身刑となる可能性があるという。
ウクライナ保安庁は同組織にほかにもエージェントがいた可能性を追求している。さらに、リーダーの元住民の身元についても捜査が進行中だ。