防空能力を上げるウクライナ、ロシア軍のミサイル・ドローンを迎撃

ドローンとミサイルを巡る戦い
ロシア軍のミサイルの大半を撃墜
激しいミサイル・ドローン攻撃を受けた12月
ここ数ヵ月で最大の攻撃
インフラを奪う作戦
戦況に変化?
ミサイルとドローンの撃墜が可能に
ロシアの作戦変更
最初は成功したインフラ攻撃
ウクライナ電力網の半分が停電
脆弱な電力網
西側諸国の装備
ウクライナの新しい防空システム
迎撃率100%
小型兵器も威力を発揮
携帯式防空ミサイルシステム
ミサイルを視認、迎撃
ドミトロ・シュムスキー
外れた目論見
ドローンとミサイルを巡る戦い

2022年12月30日、ウクライナ軍の参謀本部は恒例となっている戦果発表を行い、ロシア軍のミサイルおよびドローンを相当数撃墜したと主張。

 

ロシア軍のミサイルの大半を撃墜

ウクライナ軍参謀本部によれば、過去24時間に58発の巡航ミサイルと23機のドローンがウクライナ軍によって撃墜されたという。

激しいミサイル・ドローン攻撃を受けた12月

ウクライナにとって困難な1ヵ月となった2022年12月。ロシア軍によるミサイル・ドローンを用いた攻撃が繰り返され、主要インフラが破壊されたほか、民間人の犠牲者も12人あまりに上ったのだ。

 

ここ数ヵ月で最大の攻撃

CNN放送のオリガ・ヴォイトヴィチ記者、エリザ・マッキントシュ記者によれば、2022年12月16日に大規模なミサイル攻撃が開始され、ウクライナ各地で空襲警報が発令されたほか、停電も発生したという。

 

インフラを奪う作戦

ウクライナのデニス・シュミハリ首相は閣僚会議の中で、「ロシアはウクライナから電力や水、暖房を奪うという作戦に出た」とコメント。

戦況に変化?

しかし、シュミハリ首相はまた、同国に打ち込まれた76発のミサイルのうち60発が防空部隊の手で撃墜されたと発表。この数字は、ウクライナ戦争における戦況が変化する兆しを予感させるものだ。

 

 

ミサイルとドローンの撃墜が可能に

携帯式防空ミサイルシステムやドイツが提供したゲパルト自走対空砲を活用することで、ウクライナ軍はロシア軍の空爆を阻止できるようになりつつあるのだ。

 

ロシアの作戦変更

ロシア軍は2022年10月に戦略を変更、ウクライナの主要インフラに狙いを定め、同国市民の士気をくじく作戦に出ていた。

 

 

最初は成功したインフラ攻撃

ロシア軍によるインフラ攻撃は当初、大きな効果を挙げた。大西洋評議会によると、10月10日に行われた攻撃ではミサイル80発およびイラン製自爆ドローン「シャヘド136」少なくとも24機が用いられ、ウクライナ市民19人が犠牲となったほか、100人以上が重軽傷を負ったとされる。

 

ウクライナ電力網の半分が停電

11月には『ニューヨーク・タイムズ』紙のジェームズ・マッキンリー記者が、「ロシアによるここ最近のミサイル攻撃により、ウクライナの電力網はほぼ半分が停電している」と報告。

 

脆弱な電力網

現在もウクライナの電力網には脆弱性が残されている。しかし、ウクライナ軍の持つミサイル撃墜能力が向上したことにより、電力網も稼働を再開し、人々に電気を届けることができるようになっている。

 

西側諸国の装備

ウクライナがロシア軍のミサイルを撃墜できるようになった一因は、西側諸国が提供した装備にある。

ウクライナの新しい防空システム

CBS放送によれば、ウクライナは11月初旬に、ノルウェーと米国が開発した地対空ミサイルシステム「NASAMS」やイタリア製の空対空ミサイル「アスピーデ」を受け取ったとされている。

迎撃率100%

米国のロイド・オースティン国防長官は11月16日の記者会見で、「クレムリンがウクライナ全土で非道な空爆を続ける中、NASAMSシステムはロシア製ミサイルの迎撃率100%を達成した」と主張。

小型兵器も威力を発揮

しかし、ミサイル防衛に威力を発揮しているのは高価な装備ばかりではない。旧ソ連製の携帯式防空ミサイルシステム「イグラ-S」も、ロシア軍のミサイルを迎撃する上で非常に有効であることが判明しているのだ。

 

携帯式防空ミサイルシステム

オンライン紙『ユーラシアン・タイムズ』のタンマイ・カダム記者によれば、2022年12月29日にウクライナを襲ったミサイル攻撃の際、低空飛行するロシアの巡航ミサイル「Kh-101」が携帯式防空ミサイルシステムによって撃墜される様子が撮影されたという。

 

ミサイルを視認、迎撃

カダム記者の記事によれば、「ミサイルが飛来する地域に配備されていたウクライナの防空部隊がロシアのミサイルを視認、同部隊の兵士が携帯式防空ミサイルシステム『イグラ』を発射した」とのこと。

 

ドミトロ・シュムスキー

しかし、ロシアの巡航ミサイルが携帯式防空ミサイルシステムで撃墜されたのはこれが初めてではない。2022年10月には、ウクライナ兵のドミトロ・シュムスキーが米国製の携帯式防空ミサイルシステムFIM-92 スティンガー」を利用し、チェルニーヒウに飛来したロシア軍のミサイル2機を撃墜している。

外れた目論見

また、現在パトリオットミサイルの運用訓練を受けているウクライナ軍の部隊も近々、戦場に派遣されることになっており、インフラ攻撃によってウクライナ当局の妥協を引き出したいプーチン政権としては、目論見が外れる形となった。

 

 

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