ウクライナの空挺部隊、バフムートでロシア戦闘員の前進を阻む
ウクライナメディアの第一報によれば、バフムートを守備するウクライナの空挺部隊は一晩のうちに、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」に所属する数百人規模の戦闘員を排除したという。
ウクライナメディア「Television Service of News」のユリア・キリエンコ記者は、バフムート南部につながる幹線道路を防衛するウクライナ第80独立空中強襲旅団が、ウクライナ陣地への攻撃を試みた15のワグネル部隊を撃破したと伝えた。
キリエンコ記者は「侵略者たちはバフムートにつながる道路を抑えようと試みているが、ウクライナ軍は街に踏みとどまっている」と書いている。
同記者はさらに、「ウクライナ防衛軍は同市南部の郊外から敵を押し返すことに成功。一晩のうちに、ウクライナ陣地への襲撃を試みる15のワグネル部隊が撃破された」と付け加えた。
また、同記者によれば、ワグネル部隊の残党を一掃するためウクライナ軍の砲兵たちが支援に駆け付け、砲弾の誘導にドローンを活用しながら目標を砲撃したとのこと。
ウクライナ軍はワグネルの前進を阻み、「たった数日」で完全に打ちのめしたとキリエンコ記者は述べている。
ウクライナ第80独立空中強襲旅団の砲兵隊長いわく:「夜空を見上げるとあちこちで砲火が上がっており、驚かされました」
砲兵隊長はさらに、「10時から夕方6時半にかけてワグネル部隊同士を遮断しました。そして、通信傍受の結果、15の小部隊があることがわかったんです」と述べている。
ウクライナの砲兵隊はこの戦闘でドローンを喪失したものの、ロシア軍の前進を阻むことに成功。一方、ロシア軍は装備や弾薬を破壊されたと伝えられているが、これらの情報は個別に検証がなされていない。
バフムート南部の防衛に参加した空挺部隊のミーシャ司令官は、「ワグネルは砲弾不足に陥っていました」とコメント。
前出のキリエンコ記者の指摘によれば、ワグネルは適切な装備を欠いており、機甲部隊の支援を受けずに歩兵だけで突撃するケースがほとんどだったという。
同記者はまた、「多くの場合、ワグネル部隊は人海戦術でウクライナ軍の陣地に押し掛けようと試みた」としている。
ワグネル部隊が機甲部隊の支援を受けず歩兵だけで戦っているという情報は、ウクライナ側のプロパガンダに過ぎないようにも聞こえる。しかし、ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジンが3月5日に公開した動画を見る限り、必ずしもそうではないらしいのだ。
ロイター通信のニック・サルトフ記者が行った翻訳によれば、プリゴジンはTelegramチャンネル上で、「もし、ワグネルが撤退するようなことになれば、前線が総崩れになりかねない。そうなれば、ロシアの利益を擁護する軍事組織すべてにとって、甘くない事態となる」と警告。
ロイター通信は動画の撮影地を突き止めることができなかったようだ。しかし、プリゴジンがワグネルの弾薬不足に言及しつつ「ロシアが戦争に負けた場合、政府はワグネルをスケープゴートにしようとしている」と述べたことを伝えている。
2月中旬には、『ワシントン・ポスト』紙のアンドレアス・クルス記者がワグネルの人海戦術について記事を掲載。同グループの戦闘員アンドレイ・メドヴェージェフが、指揮官から「殺されるまで前進しろ」と命令されたという事例を報じた。したがって、今回のウクライナ側の主張も単なるプロパガンダというわけではなさそうだ。