ウクライナの戦場でロシア軍が失った装備品が2万点を突破(Oryx)
オープンソースインテリジェンス大手の推計によれば、ロシア軍が2022年2月の開戦以来、積み上げてきた装備品の損失点数は新たな大台に達したようだ。
オランダのオープンソースインテリジェンス「Oryx」はロシア軍とウクライナ軍が戦場で被った損害を、画像および映像の検証によって集計して来た。その「Oryx」管理人のひとりが最近、驚くべき事実を明かした。
ウクライナの軍事情報サイト「Militarnyi」によれば、「Oryx」管理人のヤクブ・ヤノフスキ氏はX投稿を通じて、ロシア軍がこれまでに失った装備品の合計は検証可能なものだけで2万点を突破した、と暴露したのだ。
同氏いわく:「2022年にロシアによるウクライナ侵攻が勃発して以来、当サイトが記録してきたロシア軍装備品の損失は合計2万点を超えました! 自称『軍事大国』によるなんとも壮絶な失敗です」
「Oryx」が作成したリストには、さまざまな種類の装備品が含まれている。しかし、ロシア軍が失った装備品の大部分はおおまかに2種類に分類することができる。装甲戦闘車両あるいは、トラックをはじめとする非戦闘車両だ。
「Oryx」によれば、1月20日の時点で、ロシア軍が失った装備品のうち、画像や映像によって検証可能なものは合計2万4点。その内訳は、撃破されたものが1万5,039点、損傷842点、放棄115点、鹵獲3,008点となっている。
また、合計2万4点のうち、1万1,597点は戦闘車両であり、この中には戦車やMRAP(耐地雷・伏撃防護車両)、装甲兵員輸送車、装甲戦闘車両、歩兵戦闘車などが含まれている。
一方、トラックやジープをはじめとする非戦闘車両の損失は3,798点となっている。ロシア軍が失った装備品の合計から非戦闘車両や偵察ドローンを除いたとしても、その点数は1万5,672点に達する。
ロシア軍はさらに、その他の兵器類も相当な数を失っている。例えば、自走砲の損失は少なくとも869門、地対空ミサイルの損失は298基、航空機の損失は134機に達したほか、艦艇28隻も撃沈されてしまった。
しかも、これらの数字には映像や画像から検証可能なものしか含まれていない。つまり、ロシアが実際に被った損害は「Oryx」が公表しているデータより、はるかに甚大な可能性があるのだ。
「Oryx」のウェブサイトによれば、「このリストには、画像や動画によって、撃破が確認された車両や装備品のみが含まれています。そのため、実際に破壊された装備品の点数は、ここに記録されているものより、はるかに多いと考えられます」とのこと。
同サイトはさらに、「同じ装備品を重複してカウントするのを避け、放棄と鹵獲の違いを判断するため、可能な限り努力しています」としている。ただし、放棄された装備品は多くの場合、最終的に鹵獲または破壊されることになるようだ。
一方、ウクライナ軍参謀本部もロシア軍が失った装備品の推計を発表しているが、これは「Oryx」による数字よりもはるかに大きい。
たとえば、同参謀本部が1月18日に公表したデータによれば、ロシア軍が失った装甲兵員輸送車・装甲戦闘車量は合計2万349両とされているが、「Oryx」の報告によれば、損失が確認できた装備品はすべて合計で2万4点。つまり、ウクライナ軍参謀本部は敵の損害を非常に大きく見積もっているのだ。
ウクライナ参謀本部はまた、ロシア軍の戦車の損失は9,803両に達し、砲兵システムの損失は合計22,040両に達したと指摘した。この数字も、オリックスが確認できる装備損失の合計よりはるかに高い。
ロシア軍が実際に失った装備品の点数を正確に知ることはできないが、おそらく、「Oryx」が発表したデータとウクライナ軍参謀本部による推計の中間である可能性が高い。とはいえ、ロシア軍が開戦以来、非常に甚大な損害を被っているのは確かだ。
一方、ウクライナ軍が被っている損害はロシア軍と比べ、かなり小さい。「Oryx」によってウクライナ軍が失ったと確認された装備品は7,564点。その内訳は撃破5,463点、損傷551点、放棄383点、鹵獲1,167点となっている。