ウクライナで活躍する主力戦車「レオパルト2」:西側から供与された戦車が高い耐久性を発揮
満を持して攻勢を開始し、奪われた領土を取り戻すことを狙うウクライナ。すでに数ヶ月が経過しかなりの損失も予想されたが、西側から供与された主力戦車「レオパルト2」は驚くほどの耐久力を発揮し、いまだにわずかな数しか失われていないようだ。
『フォーブス』誌がオランダに拠点を置くオープンソース情報分析サイト「Oryx」の推定を報じており、それによるとウクライナは供与を受けた「レオパルト2」71輌のうち失われたのはわずか5輛だという。
「Oryx」は侵攻開始以来、公開された写真や動画などの分析を通じて宇露双方の損失の計測を続けている。
『フォーブス』誌によればほかにも何輛か大きく破損しているようだが、「レオパルト2」という強力な兵器を戦場から撤退させるほどのものではないという。
ウクライナによる攻勢開始以来、少なくとも10輛の「レオパルト2」が破損したとされ、その多くはポーランドやドイツに送られて修理されている。
『フォーブス』誌のジャーナリスト、デビッド・アックスによると、「レオパルト2」の耐久力は凄まじく、修復が必要なレベルに至るまでの間に、かなりの規模の攻撃に耐えられるのだという。
こういった特性から、「レオパルト2」は特に戦闘が苛烈な南部に送られた。損傷を被った車輌も速やかに修理に回され、次の攻勢に再投入することが目論まれている。
アックスはこう解説する:「『レオパルト2』は非常にタフなので、大量の攻撃を引き受けたのち修理に回せばもう一度攻撃を引き受けることができる」
そしてふたたびダメージを負った戦車はもう一度修理に回すことができる。アックスによればこのサイクルは何度も繰り返すことが可能とされ、しかも最後には車体をリサイクルすることもできるのだという。
「レオパルト2」の頑丈さの効用は戦車の耐用期間を伸ばすだけではない。中にいる兵士たちの生存性も向上し、戦闘の継続を可能にするのだ。
アックスのレポートによると、破壊された5輛の「レオパルト2」の乗員は全員生存し、戦車が完全に破壊される前に脱出することができたのだという。
Photo Credit: Twitter @DefenceU
これはつまり合計20人の人命が守られたということであり、しかもこの20人は今後の戦闘において実戦での経験を活かすことができるのだ。
ロシア側の主張では、最初に「レオパルト2」を破壊したのは6月初頭のことで、ウクライナ軍がザポリージャ州ノヴォポクロフカ地域を攻撃していた時だったという。
ロシア国防省は証拠として動画を公表し、他の車輌と隊列を組んでいた「レオパルト2」が戦場で燃え上がる様子を見せている。『ビジネス・インサイダー』が報じた。
また、その後、ウクライナ軍が同州マラ・トクマチカ地域の地雷原を突破しようとした際にさらに3輛が失われたという。『フォーブス』誌のアックスが6月8日に報じている。
だが、攻勢初期にでた損失以降、ウクライナ軍が新たに失った「レオパルト2」はわずか1輛にとどまっている。これはまさに、この戦車の驚くべき耐久性の証拠と言えるだろう。