ウクライナが新型の攻撃用ドローンをお披露目
新型の攻撃用ドローンを試験運用しはじめたウクライナ。戦場でこれと対峙するロシア兵にとっては致命的な存在になるかもしれないが、実際のところ従来のドローンとはどのように違っているのだろうか?
2月5日、ウクライナ・デジタル変革省のミハイロ・フェドロフ大臣はSkyLab社の新型ドローン「シューリカ MK6」について、すでに試験運用をスタートしたとTelegram公式チャンネルで発表。このドローンは、ハイテク企業が結集してウクライナ防衛に取り組む「Brave 1」計画の一環として開発されていたものだ。
写真:Facebook @skylabukraine
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フェドロフ大臣はTelegram上で、「国防軍はすでにシューリカ MK6を試験運用しており、フィードバックを行っています。ドローンは戦術的に ―とりわけ夜間の作戦で― 重要です」とコメント。
「Brave 1」はハイテク企業のもつ革新的な技術やアイデアを結集し、ウクライナの防衛力向上に活用すべく設立された政府主催のプラットフォームだ。
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「Brave 1」計画は成果を挙げつつあり、「シューリカ MK6」の開発はその好例だと言える。では、この新型ドローンの性能はいかほどなのだろうか?
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フェドロフ大臣の説明によれば、「シューリカ MK6」は精度の高い攻撃を可能にするばかりか、最先端の暗視システムを搭載しており、とりわけ夜間攻撃に役立つとされる。しかし、このドローンの新機能はこれだけではない。
「シューリカ MK6」の航続距離は10キロメートル、最大積載量は6キログラム。一見、大したことはないように思われるかもしれないが、敵に深刻なダメージを与えるには十分な数字だ。
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ウクライナの軍事ブログ「Militarnyi」によれば、「シューリカ MK6」には「PTAB型の炸薬を搭載するためのポッドが4基ある」とのこと。PTABとは、戦車をはじめとする装甲車両に対して用いられる対戦車兵器の一種だ。
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「シューリカ MK6」の真価は敵の電子戦兵器による影響を受けにくいことや、制御システムの精度が高い点にあるとされる。ただし、これらの側面について、フェドロフ大臣がTelegram投稿の中で詳細を明かすことはなかった。
「シューリカ MK6」は現在、NATOカタログ制度(NCS)への登録が行われている。同時に、人工知能(AI)と組み合わせて自立的に運用できるようにしたり、カメラを改良してターゲットの探知能力を向上したりするなど、さまざまな面で性能アップが図られているのだ。
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開発元のSkyLab社は「シューリカ MK6」について、「人的リスクを最小限に抑えてあらゆる軍事作戦をこなす多機能兵器」であり、「未来型の航空支援」だとしている。
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前出の軍事ブログ「Militarnyi」はSkyLab社の製造ペースについて、「シューリカ MK6」を10台生産するのにおよそ3週間かかるとしている。また、この数字は組み立てのほかにファームウェアの組み込み、テストや校正、梱包などを含んだものだ。
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このドローンの市場価格はおよそ2万5,000~3万ドルとなっているが、SkyLab社は2024年1月に値下げを発表。ただし、同社は価格を一般に公表していない。
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ウクライナ政府が6つの部門を動員して官民合同の「Brave 1」計画をスタートしたのは2023年4月。「シューリカ MK6」はその成果として生まれた。
このプロジェクトが開始された当時、フェドロフ大臣は次のように語ったという:「ウクライナは最新技術をすばやく積極的に吸収・開発・応用する国になる必要があります。『Brave 1』はそれに向けたステップの1つなのです」
同大臣いわく:「われわれの目標は、防衛技術プロジェクトを迅速に展開できるようなシステムを構築することです。つまり、大胆な決断によって、軍事技術の開発にあたる企業が活躍できるような環境を整えるわけです。テクノロジーと勇気はわれわれの勝利に大きく貢献してくれるでしょう」