米国が供与した装甲車両「MaxxPro」、ウクライナ戦線でその頑丈さを証明
2022年2月のロシアによる侵攻開始から激しい戦闘が続くウクライナ。前線から伝えられた最新の映像によって、ウクライナ軍に供与された米国製軍用車両の性能の高さが明らかになった。
この映像は前線の上空を飛行するドローンが、数度にわたる爆発に耐えて戦闘地域を移動する耐地雷・伏撃防護車両(MRAP)「M1224 MaxxPro」の姿を捉えたものだ。
画像:Screenshot Telegram @ButusovPlus
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「MaxxPro」は損傷した車両と思しきものが横たわる砂利道を進みながら、少なくとも3度の大爆発を切り抜けたようだ。
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「MaxxPro」は相次ぐ爆発を避けながら走行していたが、交差点に差し掛かったところで爆発の直撃を受けたかに見えた。
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ところが、次の瞬間「MaxxPro」は白煙の中から無傷で姿を現す。危機一髪の状況から乗員を守るという役目を果たしたのだ。
画像:Screenshot Telegram @ButusovPlus
この映像を最初に公開したウクライナ人ジャーナリストのユーリ・ブトゥソウ氏は自身のテレグラムチャンネルを通じて、撮影時の状況を解説。
画像:Screenshot Telegram @ButusovPlus
それによると、ウクライナ軍が運用する「MaxxPro」はロシア軍の迫撃砲とドローンによる激しい攻撃にさらされたが、これを潜り抜けて無事に戦闘任務から帰還したとのこと。
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ブトゥソウ氏によれば、この映像はロシア軍が今年4月初めから占領を試みているドネツク州の集落、チャシウ・ヤルの付近で撮影されたという。
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ニュースサイト「ビジネスインサイダー」によれば、「MaxxPro」は米国の軍用車両メーカー「Navistar Defense」社とイスラエルの「プラサン・ササ」社が共同開発したものであり、米国からウクライナに200台が供与されたという。
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Wiki Commons By Grippenn, Own Work, CC BY-SA 3.0
今回の映像はSNS上であっという間に拡散されたが、その中には「プラサン・ササ」社の元設計責任者ニール・カーン氏がX上でおこなった再投稿も含まれている。
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カーン氏はX投稿の中で、「私は『Navistar MaxxPro』の設計に関わったことをとても誇りに思います。この車両はウクライナで何千人もの命を救ったのです」とコメントした。
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軍事ニュースサイト「Army Technology」によれば、「MaxxPro」は即席爆破装置(IED)や待ち伏せ攻撃、弾道弾、地雷などから兵士を守るために設計された装甲車両だという。
画像:Army Staff Sgt. Teddy Wade, U.S. Department of Defense
また、この車両には核兵器や生物兵器、化学兵器が使用された際に発生する汚染から乗員を保護するタイプも存在するらしい。いずれにせよ、ウクライナ軍にとって「MaxxPro」が大いに役立っているのは間違いない。
『タイムズ』誌のインタビューに応じたあるウクライナ兵によれば、ロシア軍にとって「MaxxPro」は「良くない兆候」であり、ロシア兵たちはあらゆる手段で撃破を試みるそうだ。
画像:Screenshot Telegram @ButusovPlus
しかし、このウクライナ兵いわく、「Maxxpro」は「ほとんど破壊不可能」だ。実際、ある戦闘ではロシア軍の放った迫撃砲を被弾したが、「MaxxPro」の乗員は無事だったという。
「ビジネスインサイダー」によれば、「MaxxPro」は12人乗りで、 7.62ミリメートルまたは12.7ミリメートルの機関銃を取り付けるための砲塔を1つ備えているとのこと。
画像:Wiki Commons By Flickr, mallard10, CC BY 2.0
オープンソースインテリジェンス大手「Oryx」が写真や映像を用いて検証したところ、6月4日時点でウクライナ軍は少なくとも90台の「MaxxPro」を撃破されたものと見られている。
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