ウクライナ軍、敵の高価なレーダーシステムをドローンで破壊
現地からの報道によれば、ウクライナが安価なドローンを活用し、ロシア軍の高価なレーダーシステムの破壊に成功したという。これは単なる一兵器の破壊というにとどまらない意味を持つ。というのも、そのレーダーシステムはロシア領内に位置していたのだ。
ウクライナ保安庁は4月16日、ロシア領内に位置していた長距離レーダーシステム「Nebo-U」を攻撃し、これを破壊したという。保安庁からの情報としてウクライナメディアが報じている。
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「Nebo-U」はロシアのブリャンスク州に位置しており、国境から700kmほど先までの範囲をカバー、ウクライナの航空機などを監視していたという。『ビジネスインサイダー』が報じている。
軍事情報サイト「Army Recognition」はこう述べている:「『Nebo-U』は飛行機や巡航ミサイル・誘導ミサイルに始まり、小型の超音速飛翔体など検知が難しい物体まで様々な種類の航空目標を検知・追跡するようになっている」
同サイトはさらにこうも述べている:「『Nebo-U』は航空目標の所属陣営や敵の通信妨害拠点を特定することができる。独立してオート稼働することも、システム内に組み込んで用いることもできる」
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『キーウ・インディペンデント』紙に語った関係者によると、「Nebo-U」の破壊には7機の自爆ドローンが用いられたという。さらに、その攻撃の結果、同システムは「もはや機能していない」とも伝えられている。
匿名の関係者はこう語っている:「このレーダーを破壊したことで、ウクライナ北部の国境地帯でロシア側に航空機を検知される可能性が減少した」その人物はさらに、今回の戦果が今後の戦闘にどう貢献するかも語っている。
それによると、レーダーというロシア側の「眼」を奪ったことで、それまで同システムが監視していた地域における偵察やドローンなどの航空戦力の展開が「より効率的に」行えるようになったのだという。
破壊された「Nebo-U」はロシア軍による空爆を支えていたと考えられている。また、『キーウ・インディペンデント』紙によると、同システムの価格は総額で1億ドル(約150億円)にも達するという。
だが、『ビジネスインサイダー』も指摘するように、同システムの価格は詳細には明らかになっていない。というのも、ロシアの国営メディアによると同システムは比較的新しく、ロシア空軍に配備されたのも8年ほど前だからだ。
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ちなみに、ウクライナが同システムを破壊したと主張するのはこれが初めてではない。『ニューズウィーク』誌によると、2023年9月や同年11月にも同様の主張がなされている。
『ビジネスインサイダー』のマシュー・ロー記者はこう述べている:「ウクライナによると、『Nebo-U』を破壊するのは今回で二回目だという。前回はハルキウ北東、ロシアのベルゴロド州で破壊したとされている」
ロー記者はさらにこうも述べている:「『Nebo』(ロシア語で空の意)シリーズには多くのヴァリエーションがあり、ロシア空軍や陸軍で利用されている」また、同シリーズ内でも「Nebo-U」や「Nebo-M」などが最新鋭のものであるとも言われている。
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ウクライナの情報機関は2024年2月にもロシアが国境地帯に展開していたレーダーシステムを破壊したとしている。ただし、そのとき破壊したのは「Nebo」シリーズではなく「Kasta-2e2」だったとされている。
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ウクライナのニュースサイト「Militaryni」によると「Kasta-2E2」の破壊に使われたのも徘徊型ドローンで、ポーランド製の「Warmate 3.0」が利用されたという。ウクライナ軍の運用する安価なドローンがロシアに対する脅威度を増していることが感じられるニュースだ。
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ロー記者はこう書いている:「ウクライナで起きている戦争は、一人称視点で操作する無人ドローンの軍事利用に脚光を浴びせた。ドローンは安価なものが利用され、搭載した爆発物を投下したり機体ごと突入したりといった攻撃を精確に実行できる」