ウクライナ、ドイツ製の最新鋭自走砲が年末までに供与される
報道によると、ウクライナは年末までに世界最先端の砲撃システムを供与される見込みのようだ。では、その砲撃システムは、プーチン大統領率いるロシア軍によるウクライナ侵攻に対抗するにあたってどのように役に立つのだろうか。
8月15日、ドイツ連邦国防省は、クリスティアン・フロイディング少将を通じて、ウクライナは年末までに、新たに強力な砲撃システムを受け取るだろうと公表した。防衛ニュースサイト「Army Recognition」が報じている。
フロイディング少将はドイツ連邦軍のYouTubeチャンネルに投稿された動画内でウクライナ戦線について語っており、そのスクリーンショットが報じられている。それによると、少将は2024年12月までにウクライナにドイツの装輪自走榴弾砲「RCH 155」を届けると明言している。
画像:YouTube @Bundeswehr
「RCH 155」とは「Remote Controlled Howitzer 155mm(リモートコントロール155mm榴弾砲)」の略で、非常に強力な自走榴弾砲だ。この車両が配備されることは、ウクライナにとっての重要性に留まらない多くの意義を持つ。
「Euromaidan Press」によるとRCH 155は最新鋭の榴弾砲でいまだどの国も配備にはいたっておらず、供与が確約された56両が供与されれば、ウクライナが同車両を配備する初の国となるという。
画像:Wiki Commons By Krauss-Maffei Wegmann GmbH & Co. KG, CC BY 4.0
ウェブサイト「German Aid to Ukraine」によると、ドイツ政府は当初RCH 155を36両ウクライナに供与する予定だったという。18両ずつ2回に分けて送るとされていたが、車両数が増やされ、全体で56両となった。
RCH 155のメーカー「KNDS」が2024年6月に出したリリースでもウクライナが54両のRCH 155を調達する契約を結んだとされており、ほかにも同社製造の兵器が提供されると述べられている。
画像:Wiki Commons By KMW, CC BY 4.0
同社が6月18日に出したリリースにはこうある:「現在、ウクライナ軍は54両のRCH 155を調達する契約をKNDSと結んでいます」ただし、実際にウクライナに送られることになるRCH 155の数についてはその時点では議論もあったという。「German Aid to Ukraine」が報じている。
KNDSのリリースを受けて出された投稿で、「German Aid to Ukraine」はドイツのボリス・ピストリウス国防大臣が5月30日にオデーサを訪問した際の発言として、ウクライナには2025年に18両のRCH 155が供与される、というものを紹介している。
2024年末までに何両のRCH 155がウクライナに届けられるのか、その正確な数は不明だが、いずれにせよ、この兵器がいまなお続くウクライナ侵攻に対抗する上で非常に有効なことは疑いようがない。
「Army Recognition」によると、RCH 155は「機動力、火力、防御力を兼ね備えており、砲火力を戦場で効果的かつ即応的に提供することができる」うえ、「長距離目標を正確に攻撃することも可能」なのだという。
RCH 155に必要な乗員はたったふたりであり、射撃管制はコンピュータが担い自動化されている。そのため非常に効率的に火力を提供することが可能で、しかもRCH 155どうしを無線で接続して連携することもできる。
また、同じく「Army Recognition」によると、「防御力についても、RCH 155は敵地での生存性を高めるように作られている」という。同車両は砲弾の破片や小火器のみならず、化学兵器や生物兵器、核汚染にも対応できるという。
「Defence Blog」によると、RCH 155は通常弾薬を用いた場合、最大40km先の目標に対して分間8発の射撃能力を持ち、超長距離用弾薬(Very Long-range Artillery Projectiles: VLAP)を使用すれば射程距離を56kmまで伸ばせるという。
「Euromaidan Press」はこう述べている:「RCH 155はまったく新しい時代の砲撃システムであり、特別なものだ」
「ウクライナがRCH 155の運用を始めたら、ドイツ製の高度に自動化された自走砲が実際の戦場でどのような働きを示すか、大きな注目を集めるだろうことは確実だ」