物価上昇で絶滅?:ニューヨーク名物の「1ドルピザ」

ニューヨーク名物「1ドルピザ」
新型コロナウイルスの犠牲に?
自粛期間を乗り越えて
人通りが絶えたニューヨーク
インフレと食品価格の上昇
幻の鳥ドードーのように......
値上げか閉店か
名物ピザの行方は?
顧客のことを考えて
すべての道はキーウに通ず
パンデミックの影響
1ドルショップの名にそぐわず
イタリア移民の手でスタート
1,700を超える店舗
苦しい経営
庶民の胃袋を支えた1ドルピザの消滅
ニューヨーク名物「1ドルピザ」

1ドルピザは、20年以上も前からニューヨークの人々に親しまれている。物価の高い大都市で、あらゆる社会階層や社会背景の人々が、安く手軽に食事をするための強力な味方だった。しかし今、その歴史に幕が下ろされようとしている。

 

新型コロナウイルスの犠牲に?

「ニューヨーク・タイムズ」紙は、1ドルピザに終止符を打った主犯として、新型コロナウイルスを挙げている。

自粛期間を乗り越えて

何十年も前から食品デリバリーの主役であるピザショップは、新型コロナウイルスによる自粛期間中も、ほかのカフェやレストランに比してかなり活発な営業活動を続けてきた。

人通りが絶えたニューヨーク

一方、1ドルピザは観光客やお腹を空かした地元民でごった返すような通りをターゲットとして、低価格商品ながらコンスタントな売上を上げていた。しかし、パンデミックによりニューヨークの通りから人の姿は消え、収入が途絶えてしまったのだ。

インフレと食品価格の上昇

もはやピザ1枚が1ドルでは成り立たなくなった理由として、エスカレートするインフレと、食品価格の上昇が指摘されている。

幻の鳥ドードーのように......

「ガーディアン」紙を始めとするニュースメディアは、すでに2021年末の時点で、絶滅鳥であるドードーのようにニューヨーク名物の1ドルピザも消える運命にあると予測していた。

値上げか閉店か

「ニューヨーク・タイムズ」紙は2021年12月、現在のピザショップは商品を値上げするか店をたたむかという二者択一を迫られており、1ドルを維持している店はごくわずかだとしている。

名物ピザの行方は?

2021年12月、「ガーディアン」紙は「99セント・フレッシュ・ピザ」のオーナー、アブドゥル・ムハンマドにインタビューを行った。このピザレストランチェーンでは、2001年の創立時と同じ値段をこれまで維持しているのだ。

顧客のことを考えて

アブドゥル・ムハンマドは、「当社の顧客の多くは家賃の支払いも滞るような失業者です。今よりも高い買い物をする余裕はないということを、考えない訳にはいきません」としている。

画像:DiegoMarín/ Unsplash

すべての道はキーウに通ず

今年2月にロシアが隣国を侵攻して始まったウクライナ戦争は、世界経済および世界中の食料価格に大きな影響を及ぼしている。

パンデミックの影響

2020年の新型コロナウイルス感染症の影響に加え、グローバルサプライチェーンの存在が火に油を注いだ形だ。

1ドルショップの名にそぐわず

こうした影響を受けているのはピザショップだけではない。「ビジネス・インサイダー」紙によれば、ディスカウントチェーン店「ダラー・ツリー」も同じような理由で商品価格を1ドルから1.25ドルに上げざるを得なくなった。

イタリア移民の手でスタート

ピザがニューヨーク名物になった歴史はきわめて長く、その起源は1880年代にまで遡る。当時、多くのイタリア移民が米国に渡ってきたことで最初のピザショップがオープンしたとされている。

画像:1961年、ピザまるごと1枚を15セントで販売するニューヨークのピザショップ

1,700を超える店舗

「ガーディアン」紙によれば、現在ニューヨーク市には約1,700軒のピザショップが存在する。

画像:Jessica Pamp、Unsplash

苦しい経営

しかし、家賃の高騰やインフレ、サプライチェーンの問題、デリバリーサービスにつきものの不安定さなどが、こうした小規模なビジネスに負担を与えている。

庶民の胃袋を支えた1ドルピザの消滅

「ニューヨーク・タイムズ」紙が指摘するように、経済危機が起こった2008年には、多くの人々が1ドルピザの世話になり、食べていくことができた。しかし現在、観光客はもちろん、貧困層の人々や失業者の味方であった貴重な食の選択肢のひとつが失われつつある。

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