英国でもっともリッチなヒンドゥジア家、人身売買の罪で禁固刑を言い渡される

人身売買の罪に問われた大富豪
住み込み従業員への不当労働行為が問われる
飼い犬の方が好待遇
「子供と映画を見る時間」は労働ではない?
「インドと比べれば好待遇」とも主張
民事裁判は少し早く決着
ヒンドゥジア家とは?
人身売買では無罪に
カダフィ大佐もスイスで逮捕されたことが
外交官にも給料不払いの訴えがなされる
人身売買の罪に問われた大富豪

イギリス随一の富豪一族、ヒンドゥジア家の構成員4名がスイスで裁判にかけられた。その容疑はなんと人身売買及び搾取だ。BBCによると総資産7兆5,000億円とも言われる富豪一族の裏になにがあったのだろうか。

 

住み込み従業員への不当労働行為が問われる

ジュネーブで裁判にかけられていたのはプラカシュ・ヒンドゥジアとその妻カマル、ふたりの息子アジャイとその妻ナムラタの4名だ。BBCによると、4名は家に住み込んでいた従業員のパスポートを没収し、ほとんど家から出ることを許さずに1200円ほどの日給で18時間労働をさせていたという。

写真:カマル・ヒンドゥジアと握手するイギリスのアン王女。カマルの隣に立っているのはプラカシュ(2023年)。

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飼い犬の方が好待遇

イヴ・ベルトッサ教授によると、一家は飼い犬に年間1万ドル(約160万円)を費やしていたとされる。これはどの従業員に対して払った給料よりも高額だ。『ブルームバーグ』が報じている。

「子供と映画を見る時間」は労働ではない?

『ブルームバーグ』によると、同家の弁護士アジャイ・ヒンドゥジアは18時間労働という部分についてこう主張したという:「従業員が居間で子供とテレビを見ている時間が労働と言えるでしょうか。そうは思いません」さらに、食費と住居費も給料として考慮されるべきだとの主張もされたという。

写真:ジュネーブの裁判所に向かうナマルタ・ヒンドゥジア(左)、アジャイ・ヒンドゥジア(右)及び弁護士のロバート・アサエル(中央)

「インドと比べれば好待遇」とも主張

同サイトいわく、従業員たちがインドで採用されたということを理由に、インドの給料と比較する議論も行われたという。さらに、採用を行ったのはインドのヒンドゥジア・グループが運営する企業であって、家族は労働条件を関知していなかったとも述べられた。

民事裁判は少し早く決着

『ブルームバーグ』の報道によると、この件に関する民事裁判は先日和解に至っているという。和解内容は公表されていない。また、原告のうち3名は訴訟を取り下げている。

写真:プラカシュ・ヒンドゥジア

ヒンドゥジア家とは?

『フォーブス』誌によると、ヒンドゥジア家は多国籍に展開するグループ企業、ヒンドゥジア・グループを牛耳っており、その業務は陸運から化学工業、銀行業務やケーブルテレビにまで及ぶほか、ロンドンに多くの不動産も所有している。ヒンドゥジア・グループの創業は1914年、創業者はパーマナン・デプチャン・ヒンドゥジアだ。

写真:チャールズ皇太子(当時)とプラカシュ被告の兄、ゴピチャン・ヒンドゥジア。

人身売買では無罪に

パスポートの没収も行われていたことから、この件は人身売買としても捜査されていた。21日に下された判決では人身売買の容疑では無罪となったものの、搾取ほかは認められ、プラカシュとカマルは禁固4年6ヶ月、アジャイとナムラタには禁固4年が言い渡された。AFPが報じている。

カダフィ大佐もスイスで逮捕されたことが

実は、超富裕層による従業員の不当な扱いがスイスで問題となったのは今回が初めてのことではない。2008年にはリビアのカダフィ大佐が従業員を殴打した容疑でスイス当局に逮捕されている。結局起訴には至らなかったものの、スイスとリビアの間で外交問題となり、BBCによるとリビアでは報復措置としてスイス国籍者2名が逮捕されたという。

外交官にも給料不払いの訴えがなされる

また、2023年には4人のフィリピン人従業員が外交官である雇用主を告訴、20年もの間給料を受け取っていないと主張した。外交官個人には外交特権があるが、アルジャジーラによると原告らはスイスにある国際連合パキスタン政府代表部を訴えているということだ。

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