支持者からも失笑を集めたトランプ氏:認知能力が疑われたウィスコンシン州での集会
11月5日の投票日が刻一刻と近づき、アメリカ大統領選挙は最後の盛り上がりを見せている。高齢のバイデン大統領に代わって候補となった民主党のカマラ・ハリス副大統領の勢いが増していく一方、トランプ前大統領の度重なる失言が物議を醸している。
数ある失言の中から、ウィスコンシン州で9月7日に行われた選挙集会を振り返ってみよう。この時のトランプ元大統領は人々の支持を集めるどころか、失言を連発して批判を受ける結果となってしまった。
選挙集会でのトランプ前大統領の最もひどい失言は、80歳以上の人がサインした書類はまったく当てにできない、とほのめかすような軽率な発言だったと、米オンラインタブロイド紙「ロー・ストーリー」のデイビッド・マカフィーは伝えている。
「現在78歳で、次期アメリカ大統領を目指しているトランプ前大統領は、現時点では大統領選候補者の中で最年長だ」とマカフィーは指摘した。
しかし、高齢者に対する失言が一番の問題ではなく、むしろ些細な言葉の言い間違いから認知能力の低下が疑問視され、ネット上での批判が集まったのだ。
トランプ前大統領は、バイデン現大統領に対する高齢批判を繰り返し、その健康にも不安があるとして攻撃し続けてきた。しかし現在では、ブーメランのように自身も同じ問題を突きつけられている。
ウィスコンシン州での選挙集会で、トランプ前大統領は、宇宙空間でトラブルに見舞われているボーイング社のスターライナーについて発言。その際、イーロン・マスクの名前を誤って「レオン」と呼んだのだ。
米ニュースサイト「デイリー・ビースト」によると、トランプ前大統領の発言は以下の通りである。「あの機体の美しさを見ればわかるように、ボーイング社については何の心配もいらない。たしかに今は困難を抱えているけれど、すぐに解決するだろう。『レオン』がロケットを提供することになっているからね」
「『レオン』はボーイング社にロケットを提供することに前向きで、それに全力を傾けているよ」とトランプ前大統領は付け加えた。元検察官で反トランプ派として知られるクリストファー・アルベルトは、この間違いはトランプ前大統領の認知能力が低下している兆候だと指摘した。
「トランプ前大統領がイーロン・マスクを『レオン』・マスクと呼んだのは単なる失言ではない。これは同氏の認知能力が低下している明白な兆候だ」とアルベルトは米オンラインタブロイド紙「ロー・ストーリー」に記した。
「トランプ前大統領のこうした頻繁な失言を軽視すべきではなく、認知能力の低下という深刻な問題を浮き彫りにしている」とアルベルトは付け加えた。トランプ前大統領の演説中のトラブルはこれだけではない。
トランプ前大統領は、将来的には連邦教育省を廃止することになると説明しようとした際、「廃止」という単語が出て来ず、言葉に詰まってしまったのだ。
同紙によると、トランプ前大統領は「廃止」という言葉を濁しながら発言し、「これまで訴えてきたように、最終的には連邦教育省を廃止する」とその後付け加えたと報じられている。
リンカーン・プロジェクトの退役軍人元担当顧問で現民主党選挙コンサルタントのフレッド・ウェルマンによると、トランプ前大統領は自身の失言について、「まずい」と一言コメントしたという。
トランプ前大統領はまた、ウィスコンシン州共和党委員長ブライアン・シミングの名前を「ブライアー」と間違って発音。加えてキーストーン・パイプラインの名前を「キーズタウン」・パイプラインと間違え、ミネソタ州知事のティム・ウォルツを「タンポン・ティム」と揶揄しようとした際には、誤って「タンポム」と言ってしまったのだ。
トランプ大統領の失言は批判を集め、同紙によると、トランプ前大統領の「タンポム」の失言に対して、民主党支持者のパトリシア・ヤマネによれば「聴衆たちからくすくすと笑いが起こった」という。
こうした失言によって、トランプ氏はバイデン現大統領同様、年齢や職務遂行能力について改めて疑問視されることになった。
ウィスコンシン州での失言によって、一部の有権者にとっては支持する候補者を考え直すきっかけになるかもしれない。今後もアメリカ大統領選から目が離せない。